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沖縄の家づくりに学ぶ、他県でも実践できる台風に強い家づくりのポイント

間取り・住宅の特徴

2024/08/16

2024/08/16

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

沖縄の家づくりに学ぶ、他県でも実践できる台風に強い家づくりのポイント

台風や災害に強い家づくりは、多くの人々の関心事です。特に沖縄は、その地理的特性から古くから自然災害と向き合ってきた地域です。沖縄の伝統的な家づくりや現代の住宅設計には、災害に対する様々な工夫が凝らされています。本記事では、沖縄の家づくりから学ぶ、台風や災害に負けない住宅の特徴と対策について詳しく解説します。他の地域でも活用できる知恵が詰まった沖縄の家づくりから、安全で快適な住まいのヒントを探ってみましょう。

台風に強い伝統的な沖縄の家の特徴

沖縄の伝統的な家屋には、長年の経験から培われた台風対策の知恵が詰まっています。その特徴を詳しく見ていきましょう。

防風から家を守る屋敷林と石垣

沖縄の伝統的な家では、敷地の周囲に石垣を築き、その内側に防風林を植える工夫がされています。この屋敷林は「フクギ」と呼ばれる常緑樹が多く使われます。フクギは強い風に耐える性質があり、台風時の強風を和らげる役割を果たします。石垣と屋敷林の組み合わせは、風速を大幅に低下させ、家屋への直接的な風の影響を軽減します。また、石垣は台風時の高潮や浸水からも家を守る役割があります。

赤瓦の寄棟屋根と低く構えた平屋造り

沖縄の伝統的な家屋は、赤瓦を使った寄棟屋根が特徴的です。寄棟屋根は四方に傾斜した形状をしており、この形状が風を受け流しやすくなっています。また、赤瓦は重量があるため、強風で飛ばされにくいという利点があります。さらに、建物全体を低く抑えた平屋造りは、風の影響を受ける面積を小さくし、台風の強風に対する抵抗を減らしています。この低層設計は、地震に対しても有利に働きます。

石場建ての貫木屋(ぬちやー)形式

沖縄の伝統的な建築様式である「貫木屋(ぬちやー)」は、柱を直接地面に立てる石場建てという工法を採用しています。この工法では、柱の下端を石の上に置くだけで、地面には埋め込みません。これにより、台風時の強風による揺れを吸収し、建物の安定性を高めています。また、湿気の多い沖縄の気候において、柱の腐食を防ぐ効果もあります。

南向きには低い軒とアマハジ

沖縄の家屋では、南側に低い軒を設け、さらに「アマハジ」と呼ばれる庇を設置することが一般的です。アマハジは、強い日差しや雨を遮る役割がありますが、同時に台風時の風圧を軽減する効果もあります。低い軒とアマハジの組み合わせにより、建物内部への雨の吹き込みを防ぎつつ、風の力を分散させることができます。

マジムン(魔物)から家を守るヒンプン

「ヒンプン」と呼ばれる目隠し壁は、沖縄の伝統的な家屋の特徴的な要素です。本来は悪霊の侵入を防ぐ目的で設置されていましたが、結果的に台風対策としても重要な役割を果たしています。ヒンプンは玄関前に設置され、強風や飛来物から玄関を守るとともに、家の中への風の侵入を防ぐ効果があります。また、プライバシーの保護にも役立っています。

これらの特徴は、単に台風対策としてだけでなく、沖縄の気候や文化に根ざした合理的な設計となっています。強風や豪雨への対策、高温多湿な気候への適応、そして地域の伝統や信仰までもが、建築様式に反映されているのです。このように、沖縄の伝統的な家屋は、長年の知恵と経験が凝縮された、環境に適応した持続可能な住まいのモデルといえるでしょう。

現代の沖縄の家の特徴

現代の沖縄の家は、伝統的な知恵を受け継ぎながらも、新しい技術や材料を取り入れて進化しています。その特徴を詳しく見ていきましょう。

石垣の代わりにブロック塀

現代の沖縄の家では、伝統的な石垣の代わりにブロック塀が多く用いられています。ブロック塀は比較的安価で施工が容易であり、台風時の飛来物から家を守る役割を果たします。また、プライバシーの確保や防犯面でも効果的です。ただし、地震に対する脆弱性が指摘されているため、適切な補強や定期的な点検が必要です。

RC造が多い

沖縄の現代的な住宅では、鉄筋コンクリート(RC)造が多く採用されています。RC造は台風や地震に対する耐性が高く、沖縄の気候条件に適した構造となっています。特に、塩害や湿気の多い環境下でも耐久性が高いことが大きな利点です。また、RC造は熱容量が大きいため、夏季の室内温度上昇を抑える効果もあります。

陸屋根

現代の沖縄の家屋では、伝統的な寄棟屋根に代わって陸屋根が多く見られます。陸屋根は台風時の風圧を受けにくい形状であり、屋上スペースの有効活用も可能です。多くの家庭では、この屋上スペースを物干し場や家庭菜園、さらには太陽光パネルの設置場所として活用しています。また、陸屋根は雨水の貯水タンクを設置するのにも適しています。

水タンクの代わりにエコキュート

かつての沖縄の家では渇水対策として屋上に水タンクを設置することが一般的でしたが、現代ではエコキュートなどの高効率給湯器が普及しています。エコキュートは空気の熱を利用してお湯を作るヒートポンプ式給湯器で、省エネ性能が高く、災害時の備えとしても機能します。また、貯湯タンクを内蔵しているため、停電時にも一定量の温水を確保できます。

窓はダブルロックの沖縄仕様アルミサッシ

沖縄の住宅では、台風対策として特殊な仕様のアルミサッシが使用されています。ダブルロック機能を備えたサッシは、強風による窓の脱落を防ぐ効果があります。通常のサッシよりも厚みのある框(かまち)を使用し、ガラスとサッシの間に隙間を作らない設計になっています。これにより、風圧や飛来物からの保護性能が向上しています。

窓ガラスはぶ厚い単板ガラス

沖縄の住宅では、台風時の飛来物対策として、通常よりも厚めの単板ガラスが使用されることが多いです。一般的な住宅用ガラスが3mm程度の厚さであるのに対し、沖縄では5mm以上の厚さのガラスが使用されることがあります。これにより、ガラスの破損リスクを低減しています。また、最近では飛来物対策と省エネ効果を兼ね備えた複層ガラスの採用も増えています。

これらの特徴は、沖縄の厳しい気候条件に対応しつつ、現代の生活様式にも適合した設計となっています。伝統的な知恵を基盤としながら、新しい技術や材料を積極的に取り入れることで、より安全で快適な住環境を実現しているのです。また、エネルギー効率の向上や環境への配慮も、現代の沖縄の家づくりの重要な要素となっています。

ただし、これらの特徴は沖縄の気候や地理的条件に特化したものもあるため、他の地域に適用する際は、その地域の特性を十分に考慮する必要があります。沖縄の現代的な家づくりの知恵は、災害に強く、環境に配慮した持続可能な住宅設計のヒントを多く提供してくれるものといえるでしょう。

他県の家づくりに活かせる沖縄の住宅の特徴

沖縄の住宅には、台風や高温多湿な気候に対応するための様々な工夫が凝らされています。これらの特徴の多くは、他県の家づくりにも応用できる貴重な知恵です。以下、他県の家づくりに活かせる沖縄の住宅の特徴について詳しく解説します。

低層住宅にする、近隣の住宅と高さを合わせる

沖縄の伝統的な住宅は低層設計が特徴的です。これは強風を受ける面積を小さくし、台風の影響を軽減する効果があります。他県でも、特に台風の影響を受けやすい地域では、この考え方を取り入れることで災害に強い家づくりが可能です。また、近隣の住宅と高さを合わせることで、風の流れを乱さないよう配慮することも重要です。これにより、地域全体で風害のリスクを低減することができます。

風を受け流せる屋根の形状に

沖縄の伝統的な寄棟屋根は、風を効果的に受け流す形状をしています。他県でも、寄棟屋根や緩やかな勾配の屋根など、風を受け流しやすい形状を採用することで、台風時の風圧による被害を軽減できます。特に台風の常襲地帯では、この特徴を取り入れることで家屋の耐風性能を高めることができるでしょう。

石垣やブロック塀を設ける

沖縄では、敷地の周囲に石垣やブロック塀を設置することで、強風や飛来物から家屋を守っています。他県でもこの考え方を取り入れ、適切な高さと強度の塀を設けることで、台風や突風からの保護効果が期待できます。ただし、地震対策として適切な補強が必要です。特に、ブロック塀の場合は定期的な点検と必要に応じた補強が重要です。

屋敷林代わりの植栽を設ける

沖縄の屋敷林の考え方を取り入れ、敷地内に適切な植栽を行うことで、風を和らげる効果が期待できます。常緑樹を選ぶことで、年間を通じて効果を発揮します。特に、敷地の風上側に植栽を配置することで、風速を低下させ、家屋への直接的な風の影響を軽減することができます。また、植栽は夏場の日射しを遮る効果もあり、省エネにも貢献します。

貯水機能のある給湯器などを設置

沖縄では渇水対策として、かつては屋上に水タンクを設置していましたが、現在ではエコキュートなどの貯水機能付き給湯器が普及しています。他県でもこのような設備を導入することで、災害時の水の確保に役立ちます。また、日常的な節水にも貢献し、環境負荷の軽減にもつながります。特に、水道インフラが脆弱な地域や、地震などの災害リスクが高い地域では、有効な対策となるでしょう。

瓦の固定(瓦屋根のビス止め)

沖縄では、台風対策として瓦をビスで固定する工法が一般的です。瓦屋根を採用する場合は、この工法を参考に、瓦をしっかりと固定することで台風時の飛散を防ぐことができます。特に、台風の影響を受けやすい地域や強風が頻繁に発生する地域では、この工法を取り入れることで屋根の耐風性能を大幅に向上させることができます。

防風戸や雨戸、防風ネットなどを設置

沖縄の家屋で一般的な防風戸や雨戸を設置することで、台風時の窓ガラスの保護が可能です。他県でも、特に台風や強風のリスクが高い地域では、これらの設備を導入することで家屋の保護性能を高めることができます。また、防風ネットの活用も効果的です。これらは、平常時には日射しを遮る日よけとしても機能し、省エネ効果も期待できます。

耐風圧の設備を選択

エアコンの室外機や太陽光パネルなど、屋外に設置する設備は耐風圧性能の高いものを選択することが重要です。沖縄仕様の製品を参考にするとよいでしょう。これらの設備は、強風時に飛散すると周囲に被害を及ぼす可能性があるため、適切な固定方法と定期的な点検も重要です。特に、屋上や壁面に設置する太陽光パネルは、風の影響を受けやすいため、十分な耐風設計が必要です。

これらの特徴を他県の家づくりに取り入れる際は、それぞれの地域の気候条件や地理的特性を十分に考慮する必要があります。例えば、豪雪地帯では屋根の形状や強度に関して異なる配慮が必要になるでしょう。また、地震のリスクが高い地域では、耐震性能と風対策のバランスを取ることが重要です。

沖縄の住宅の特徴を適切に取り入れることで、他県でも自然災害に強く、快適で持続可能な住まいづくりが可能となります。これらの知恵は、気候変動による極端気象の増加が懸念される現代において、特に重要性を増しているといえるでしょう。

まとめ

沖縄の家づくりには、長年の経験と知恵が詰まっています。台風や集中豪雨、渇水といった自然災害に対応するため、建物の構造や配置、設備に至るまで、様々な工夫が凝らされています。これらの特徴は、単に災害に強いだけでなく、地域の気候や文化に根ざした合理的な設計となっています。

他の地域でも、沖縄の家づくりから学ぶべき点は多くあります。低層設計や風を受け流す屋根形状、適切な植栽計画、耐風圧設備の選択など、地域の特性に合わせてアレンジすることで、より安全で快適な住まいづくりが可能となるでしょう。

災害に強い家づくりは、私たちの生活を守る重要な要素です。沖縄の知恵を参考にしながら、それぞれの地域に適した災害対策を講じることで、安心して暮らせる住まいを実現することができるのです。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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