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鉄骨造(S造)の防音性を解説!専門家が教える騒音対策と注意点

間取り・住宅の特徴

2024/08/19

2024/08/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

鉄骨造(S造)の防音性を解説!専門家が教える騒音対策と注意点

鉄骨造(S造)は、その堅牢性と耐久性から人気の高い建築構造ですが、防音性については課題があると言われています。本記事では、鉄骨造の防音性について詳しく解説し、木造との比較や有効な防音対策についてもご紹介します。マイホームの建築や賃貸物件を探す際の参考にしていただければ幸いです。

目次

鉄骨造(S造)とは?

鉄骨造(S造)は、建物の主要構造部に鉄骨を使用した建築構造のことを指します。「S造」の「S」は、英語で鉄(Steel)の頭文字に由来しています。鉄骨造は、その高い強度と耐久性、そして設計の自由度の高さから、様々な建築物に採用されています。

鉄骨造の主な特徴として、以下のようなものが挙げられます。

1. 高い強度:鉄骨は非常に強い材料であり、大きな荷重に耐えることができます。

2. 軽量性:木造や鉄筋コンクリート造と比較して、建物全体の重量が軽くなります。

3. 大空間の実現:柱や梁を少なくすることができ、広々とした空間を作りやすいです。

4. 工期の短縮:工場で部材を製作し、現場で組み立てるため、建築期間を短縮できます。

5. 耐震性:適切な設計がなされていれば、地震に対する耐性が高くなります。

鉄骨造(S造)には重量鉄骨造と軽量鉄骨造がある

鉄骨造は、主に重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類に分けられます。

重量鉄骨造

・主に大規模な建築物に使用されます。

・厚みのある鉄骨部材を使用し、高い強度と耐久性を持ちます。

・オフィスビル、商業施設、工場など、大型の建築物に適しています。

軽量鉄骨造

・比較的小規模な建築物に用いられます。

・薄い鋼板を加工した部材を使用し、軽量で施工がしやすいのが特徴です。

・一戸建て住宅や小規模な店舗などに多く採用されています。

一戸建てと集合住宅の鉄骨造(S造)

一戸建てで多く使用されるのは軽量鉄骨造

一戸建て住宅の場合、比較的軽量で施工がしやすい軽量鉄骨造が多く採用されています。軽量鉄骨造は、木造に比べて耐久性や耐火性に優れているのが特徴です。また、シロアリや腐朽の心配が少ないことも、一戸建てで選ばれる理由の一つです。

マンションで一般的に用いられる重量鉄骨造

一方、マンションなどの集合住宅では、より高い強度と耐久性が求められるため、重量鉄骨造が一般的に用いられます。特に高層建築物では、鉄骨造の特性を活かして、大スパンの実現や建物の軽量化が図られています。

なお、マンションでは鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)も多く採用されています。これは鉄骨造と鉄筋コンクリート造のハイブリッド構造で、両者の長所を組み合わせたものです。

このように、鉄骨造(S造)は様々な建築物に活用されていますが、その特性を理解し、適切な設計と施工がなされることが重要です。特に防音性については課題があるため、居住性を高めるための対策が必要となります。

鉄骨造(S造)の防音性は?騒音や足音、話し声は気にならない?

鉄骨造(S造)の防音性については、一般的に課題があるとされています。鉄骨自体が音を伝えやすい性質を持っているため、適切な防音対策を施さないと、騒音や足音、話し声などが気になる可能性があります。

鉄筋コンクリート造(RC造)と比較すると、鉄骨造(S造)の防音性は低い

鉄骨造(S造)は、鉄筋コンクリート造(RC造)と比較すると、防音性は劣ります。RC造は重量があり、コンクリートの密度が高いため、音の伝わりを抑える効果がありますが、鉄骨造は比較的軽量で、音や振動が伝わりやすい構造となっています。

ただし、これは構造自体の特性であり、適切な防音対策を講じることで、十分な防音性能を確保することは可能です。

遮音性の低い木造(W造)や鉄骨造(S造)の場合、足音などは床や天井の構造がポイント

木造や鉄骨造の場合、特に上下階の音の伝わりやすさが問題になります。これは、床や天井の構造が音の伝わり方に大きく影響するためです。

具体的には以下のような点が重要になります。

1. 床スラブの厚さ:厚ければ厚いほど、音の伝わりを抑えることができます。

2. 遮音材の使用:床や天井に適切な遮音材を使用することで、音の伝わりを軽減できます。

3. 二重床や吊り天井の採用:空気層を設けることで、音の伝わりを抑制できます。

4. フローリングの下地材:クッション性のある下地材を使用することで、衝撃音を軽減できます。

マンションやアパートの場合は住戸間の壁のつくりも防音性を左右する

集合住宅では、隣接する住戸との間の壁の構造も重要です。壁の厚さや使用する材料によって、防音性能が大きく変わってきます。

鉄骨造の場合、以下のような対策が有効です。

1. 二重壁の採用:空気層を設けることで、音の伝わりを抑制します。

2. 遮音材の使用:壁の中に適切な遮音材を挿入することで、音の伝わりを軽減します。

3. 壁の厚さの確保:可能な限り厚い壁を採用することで、遮音性能を向上させます。

話し声や楽器の音もれは窓やサッシに注意

室内の音が外に漏れる場合、窓やサッシの性能が大きく影響します。一般的に、鉄骨造の建物では窓からの音漏れに注意が必要です。

以下のような対策が効果的です。

1. 二重サッシの採用:空気層を設けることで、音の伝わりを大幅に軽減できます。

2. 遮音性能の高いガラスの使用:複層ガラスや防音ガラスを採用することで、音の伝わりを抑制できます。

3. サッシの気密性の向上:隙間からの音漏れを防ぐため、高気密のサッシを選択します。

4. カーテンやブラインドの活用:厚手のカーテンや防音効果のあるブラインドを使用することで、さらなる遮音効果を得られます。

鉄骨造(S造)の防音性については課題がありますが、適切な対策を講じることで、十分な居住性を確保することが可能です。建築時や購入時には、これらの防音対策がどの程度なされているかを確認し、必要に応じて追加の対策を検討することが重要です。また、日常生活においても、防音マットの使用や家具の配置の工夫など、できる範囲での対策を心がけることで、より快適な住環境を作り出すことができます。

鉄骨造(S造)の有効な防音対策は?

鉄骨造(S造)の建物で快適に過ごすためには、適切な防音対策が欠かせません。以下に、効果的な防音対策とその具体例をご紹介します。

防音マットや分厚いカーペットを敷く

床からの音の伝わりを軽減するには、防音マットや分厚いカーペットを敷くことが効果的です。特に、上階からの足音や振動を和らげる効果があります。

具体例

1. 遮音マット:厚さ8mm以上の専用の遮音マットを床に敷き詰めます。

2. 厚手のカーペット:パイルの長い、厚みのあるカーペットを選びます。

3. コルクマット:自然素材で防音効果が高いコルクマットを使用します。

4. 防音タイルカーペット:防音性能の高いタイルカーペットを床全体に敷き詰めます。

家電や楽器は配置にも注意する

テレビや洗濯機などの家電製品、ピアノなどの楽器は、壁や床から離して配置することで、振動の伝わりを軽減できます。

具体例

1. テレビ台の下に防振ゴムを設置します。

2. 洗濯機の下に専用の防振マットを敷きます。

3. ピアノの脚に防音インシュレーターを取り付けます。

4. スピーカーを壁から離して配置し、スピーカースタンドを使用します。

窓には二重サッシが有効

外部への音漏れや外からの騒音を軽減するには、二重サッシの導入が効果的です。断熱性能も向上するため、一石二鳥の対策と言えます。

具体例

1. 既存の窓の内側に、もう1枚の窓を追加設置します。

2. 真空ガラスや複層ガラスを使用した高性能サッシに交換します。

3. 既存のサッシに内窓を取り付けます。

4. 防音・断熱効果の高いペアガラスに交換します。

壁や天井の防音対策

壁や天井の防音性能を高めることで、隣室や上階からの音を軽減できます。

具体例

1. 防音壁紙:遮音性能の高い壁紙を貼ります。

2. 吸音パネル:壁や天井に吸音パネルを設置します。

3. 防音ボード:既存の壁や天井に防音ボードを追加で取り付けます。

4. 遮音シート:壁や天井の内部に遮音シートを挿入します。

ドアの防音対策

室内ドアの防音性能を高めることで、部屋間の音の伝わりを軽減できます。

具体例

1. 防音ドア:遮音性能の高い専用の防音ドアに交換します。

2. ドア下部の隙間対策:ドア下部に隙間テープや専用のドア下部シールを取り付けます。

3. ドアストッパー:ドアと床の間に防音効果のあるドアストッパーを設置します。

4. 防音カーテン:開口部に厚手の防音カーテンを取り付けます。

構造的な対策

建築時や大規模リフォーム時に検討できる構造的な対策もあります。

具体例

1. 二重床構造:床スラブの上に空気層を設け、さらにその上に床を設置します。

2. 浮き床構造:床と建物本体の構造体の間に緩衝材を入れ、振動の伝わりを軽減します。

3. 遮音天井:既存の天井の下に新たに天井を設置し、その間に遮音材を充填します。

4. 防振マウント:設備機器を床に直接設置せず、防振マウントを介して設置します。

これらの対策を複合的に実施することで、鉄骨造(S造)建築物の防音性能を大幅に向上させることができます。ただし、費用や施工の難易度、建物の構造上の制約などを考慮し、専門家に相談しながら最適な対策を選択することが重要です。また、日々の生活の中でも、大きな音を立てないよう配慮するなど、周囲への思いやりを持つことも快適な住環境づくりには欠かせません。

よくある質問(Q&A)

鉄骨造(S造)の防音性に関して、よくある質問とその回答をまとめました。これらの情報は、鉄骨造の建物に住む方や、これから住むことを検討している方にとって有用です。

Q1: 鉄骨造の防音性は木造より良いですか?

A1: 一概には言えませんが、適切な防音対策を施せば、鉄骨造のほうが木造よりも防音性を高めやすい傾向にあります。鉄骨造は木造に比べて構造的に安定しており、適切な防音材料を使用することで効果的に音を遮断できます。ただし、初期の防音性能だけで判断するのではなく、適切な防音対策を講じることが重要です。

Q2: 鉄骨造マンションの防音対策で最も効果的なものは何ですか?

A2: マンションの場合、床からの音の伝わりが大きな問題になりやすいため、防音マットや厚手のカーペットを敷くことが効果的です。また、二重サッシの導入も外部への音漏れや外からの騒音を軽減する上で有効な対策となります。さらに、壁や天井に吸音パネルを設置することも室内の音環境改善に役立ちます。

Q3: 鉄骨造の建物で楽器演奏は可能ですか?

A3: 可能ですが、適切な防音対策が必要です。楽器専用の防音室を設置するのが最も効果的ですが、費用や空間の制約がある場合は、防音マットの使用、楽器の設置場所の工夫、演奏時間の配慮などの対策を組み合わせることで、ある程度の防音効果を得ることができます。

Q4: 鉄骨造の建物で足音が気になる場合、どうすればよいですか?

A4: 床に厚手のカーペットや防音マットを敷くことが効果的です。また、スリッパの底にフェルトを貼り付けるなど、足音を直接抑える工夫も有効です。構造的な対策としては、二重床や浮き床構造の採用が挙げられますが、これらは新築時や大規模リフォーム時に検討する必要があります。

Q5: 鉄骨造の建物で外部騒音が気になる場合の対策は?

A5: 窓の対策が最も効果的です。二重サッシの導入や、防音性能の高いガラスへの交換が有効です。また、厚手のカーテンの使用も補助的な効果があります。壁の断熱材を充実させることで、外部騒音の侵入を軽減できる場合もあります。

Q6: 鉄骨造の建物で防音リフォームをする場合、どのくらいの費用がかかりますか?

A6: 防音リフォームの費用は、対策の規模や方法によって大きく異なります。簡単な対策(カーペットの敷設や吸音パネルの設置など)であれば数万円から数十万円程度で済みますが、二重サッシの導入や壁・天井の防音工事となると、100万円以上かかることもあります。具体的な見積もりは、専門業者に相談することをおすすめします。

Q7: 鉄骨造の建物で防音対策をする際、注意すべき点は何ですか?

A7: 防音対策を行う際は、建物の構造や法規制に注意する必要があります。特に、賃貸物件の場合は大規模な改修ができない場合があるため、事前に家主や管理会社に確認することが重要です。また、防音対策によっては室内の温熱環境や湿度に影響を与える可能性があるため、換気にも注意が必要です。

これらの質問と回答は、鉄骨造(S造)の建物における防音性の課題と対策について、一般的な理解を深めるのに役立ちます。ただし、具体的な状況によっては専門家のアドバイスが必要な場合もありますので、重大な問題がある場合は建築士や防音の専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

鉄骨造(S造)は、その強度や耐久性から多くの建築物に採用されていますが、防音性については適切な対策が必要です。床や壁の構造、窓の性能など、様々な要素が防音性に影響を与えるため、建築時や購入時に十分な確認と対策を行うことが大切です。また、入居後も必要に応じて防音マットの使用や家具の配置の工夫など、生活の中でできる防音対策を心がけることで、より快適な住環境を作り出すことができます。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

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