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ビルトインガレージを作る際のポイントや注意点、デザイン例を解説

間取り・住宅の特徴

2024/08/26

2024/08/26

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

ビルトインガレージを作る際のポイントや注意点、デザイン例を解説

ビルトインガレージは、住宅と一体化したガレージスペースとして人気を集めています。車の保管だけでなく、趣味の空間や収納として活用できる魅力的な選択肢です。しかし、その設計には慎重な検討が必要です。この記事では、ビルトインガレージの特徴や実例、メリット・デメリット、そして注意点について詳しく解説します。家づくりの参考にしていただければ幸いです。

ビルトインガレージとは

ビルトインガレージとは、住宅の建物内部に組み込まれたガレージのことを指します。外観から見ると、建物の一部としてシームレスに統合されているのが特徴です。単なる車庫としてだけでなく、趣味の空間や収納スペースとしても活用できる多目的な空間として注目を集めています。

インナーガレージやガレージハウスとの違い

ビルトインガレージは、インナーガレージやガレージハウスと混同されることがありますが、それぞれに違いがあります。

インナーガレージは、ビルトインガレージと同義で使われることが多いですが、厳密には建物の中に完全に収まっているガレージを指します。一方、ビルトインガレージは建物と一体化していますが、必ずしも完全に内部に収まっている必要はありません。

ガレージハウスは、ガレージを中心に設計された住宅全体を指す言葉です。ビルトインガレージを含む住宅もガレージハウスの一種と言えますが、ガレージハウスにはビルトインガレージ以外の形態も含まれます。

ビルトインガレージのメリット・デメリット

ビルトインガレージは多くの魅力的な特徴を持つ一方で、いくつかの課題も抱えています。家づくりを検討する際は、これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自身のライフスタイルに合うかどうかを慎重に判断することが重要です。以下、詳しく解説していきます。

ビルトインガレージのメリット

1. 天候に左右されない車の乗り降り:

雨や雪の日でも濡れずに車の乗り降りができるのは、ビルトインガレージの大きな魅力です。特に小さな子どもがいる家庭や高齢者にとっては、安全面でも大きなメリットとなります。

2. 多目的利用が可能:

ビルトインガレージは単なる車庫以上の可能性を秘めています。趣味の作業スペース、ホームジム、収納スペースなど、様々な用途に活用できます。限られた敷地を最大限に活かしたい方にとっては、魅力的な選択肢となるでしょう。

3. 省スペース設計:

建物と一体化しているため、敷地を効率的に使用できます。特に都市部など、土地に制約がある場合に有効です。別棟のガレージと比べて、庭やアプローチなどの外部空間を広く取ることができます。

4. 外観の統一感:

ビルトインガレージは建物と調和したデザインにすることができます。そのため、外観の美しさを損なうことなく車を収納できます。街並みとの調和や、建物全体の美観を重視する方にとっては大きなメリットとなります。

5. セキュリティ性の向上:

車を建物内に収納することで、盗難やいたずらのリスクを軽減できます。特に高級車や希少価値の高い車を所有している方にとっては、安心感につながるでしょう。

6. 車のメンテナンス性の向上:

天候に左右されずに車の手入れができるのも魅力です。洗車や簡単な整備作業を快適に行えます。

ビルトインガレージのデメリット

1. 初期コストの増加:

ビルトインガレージを備えた住宅は、通常の住宅よりも建築コストが高くなる傾向があります。構造的な配慮や設備の追加が必要となるため、予算面での検討が重要です。

2. 排気ガスや騒音の問題:

車からの排気ガスや騒音が室内に影響を与える可能性があります。適切な換気設備や防音対策が必須となり、これらの設備にも追加コストがかかります。

3. 間取りの制約:

ガレージスペースの確保により、他の居住スペースが制限される可能性があります。特に小規模な敷地では、リビングや寝室のスペースを犠牲にしなければならないケースもあります。

4. メンテナンスの必要性:

床や壁の汚れ、油漏れなどへの対策が必要です。定期的な清掃や補修が求められ、維持管理のための手間とコストがかかります。

5. 将来的な改修の難しさ:

建物と一体化しているため、後から大幅な変更が困難です。家族構成やライフスタイルの変化に柔軟に対応できない可能性があります。

6. 湿気対策の必要性:

車から発生する水分や外部からの湿気により、結露やカビの発生リスクが高まります。適切な換気や断熱対策が必要となり、これらにも追加コストがかかります。

7. 法規制への対応:

建築基準法や消防法など、様々な法規制に対応する必要があります。これにより、設計の自由度が制限されたり、追加の設備投資が必要になる場合があります。

以上のように、ビルトインガレージには多くのメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。自身の生活スタイルや優先順位、予算などを総合的に検討し、慎重に判断することが大切です。また、専門家のアドバイスを受けながら、デメリットを最小限に抑える工夫を施すことで、より快適なビルトインガレージの実現が可能となるでしょう。

ビルトインガレージをつくる際の注意点やポイント

ビルトインガレージを設計・施工する際には、様々な注意点やポイントがあります。快適で機能的なガレージを実現するために、以下の点に留意しましょう。

適切な換気設備の設置

排気ガス対策として、十分な換気能力を持つ設備の設置が不可欠です。機械換気システムを導入し、定期的に空気を入れ替えることが重要です。また、ガレージと居住スペースの間に気密性の高い扉を設置し、排気ガスが家屋内に侵入しないよう注意が必要です。

防音対策

エンジン音や開閉音による騒音を最小限に抑えるため、適切な防音措置を講じましょう。壁や天井に防音材を使用したり、ガレージドアに防音性能の高い製品を選ぶなどの対策が効果的です。

床の防水・耐油性

油漏れや水の侵入を防ぐため、適切な床材選びが重要です。エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの耐油性・防水性に優れた床材を使用することで、メンテナンス性を高めることができます。

十分な広さと天井高の確保

車の出し入れがスムーズにできるスペースを確保しましょう。一般的な乗用車の場合、幅3m×奥行き6m程度のスペースが必要です。また、天井高は2.4m以上あると作業がしやすくなります。

断熱性能の確保

ガレージを居住空間の一部として活用する場合、十分な断熱対策が必要です。壁や天井、床に断熱材を施工し、快適な室内環境を維持しましょう。

適切な採光・照明計画

自然光の取り入れや効果的な照明配置を考慮しましょう。窓や天窓を設置することで昼間の明るさを確保し、夜間や曇りの日に備えて十分な照明設備を整えることが大切です。

多目的利用を考慮した設計

収納スペースや作業スペースなど、様々な用途に対応できる柔軟な設計を心がけましょう。可動式の棚や作業台を設置するなど、将来的な用途変更にも対応できるよう工夫することが重要です。

適切な排水設計

雨天時や洗車時の水はけを考慮し、適切な勾配と排水溝を設けましょう。また、油水分離槽の設置も検討し、環境への配慮も忘れずに。

セキュリティ対策

ガレージドアには高い防犯性能を持つ製品を選び、必要に応じてセキュリティカメラや警報システムの設置も検討しましょう。

法規制への対応

建築基準法や消防法など、関連する法規制を遵守した設計・施工が必要です。特に防火区画や避難経路の確保には注意が必要です。

将来的な拡張性の考慮

家族構成やライフスタイルの変化に対応できるよう、将来的な拡張や用途変更の可能性を考慮した設計を心がけましょう。

プロの助言を活用

ビルトインガレージの設計・施工には専門的な知識が必要です。建築家や設計士、施工業者など、プロの助言を積極的に取り入れることで、より快適で機能的なガレージを実現できます。

以上の注意点やポイントを踏まえ、慎重に計画を進めることで、理想的なビルトインガレージを実現することができます。自身のニーズや優先順位を明確にし、専門家と綿密に相談しながら、納得のいく空間づくりを目指しましょう。

ビルトインガレージのデザイン例

ビルトインガレージは、単なる車庫以上の可能性を秘めています。機能性と美しさを兼ね備えたデザインにより、住まいの価値を高めることができます。以下に、いくつかのデザイン例を挙げながら、ビルトインガレージの魅力的な活用方法を紹介します。

モダンミニマリストデザイン

シンプルでスタイリッシュなデザインを好む方におすすめです。

例:白を基調とした外観に、黒のガレージドアを配置。建物全体がスッキリとした印象を与え、都会的な雰囲気を醸し出します。内部は必要最小限の設備のみを配置し、広々とした空間を生かしたデザインとします。

ナチュラルウッディデザイン

木の温もりを感じさせる、自然派志向の方に人気のデザインです。

例:外壁に木材を使用し、ガレージドアも木目調に統一。内部も無垢材の床や壁を採用し、まるで森の中にいるような落ち着いた雰囲気を演出します。天窓を設置することで自然光を取り入れ、より開放的な空間に。

インダストリアルデザイン

工業的な要素を取り入れた、クールでスタイリッシュなデザインです。

例:コンクリート打ちっぱなしの壁と、スチール製のガレージドアを組み合わせます。内部は高い天井と露出配管を特徴とし、作業スペースとしても活用できる多機能な空間に。壁面には大型の工具収納を設置し、実用性も兼ね備えます。

マルチパーパスデザイン

ガレージを多目的に活用したい方におすすめのデザインです。

例:ガレージ内部を車のスペース、趣味の作業スペース、収納スペースの3つに分割。可動式の間仕切りを使用することで、用途に応じてレイアウトを変更できます。床材も用途に合わせて使い分け、車を駐車するエリアは耐久性のあるエポキシ樹脂、作業スペースは木製フローリングを採用します。

ラグジュアリーガレージデザイン

車好きの方や、ガレージを特別な空間として演出したい方におすすめです。

例:高級感のある大理石調の床材を使用し、壁面には車や好きなアーティストのポスターを飾ります。照明は間接照明を多用し、落ち着いた雰囲気を演出。一角にはバーカウンターを設置し、友人とくつろげるスペースも確保します。

エコフレンドリーデザイン

環境に配慮したデザインを求める方におすすめです。

例:屋根に太陽光パネルを設置し、電気自動車の充電に活用。壁面や屋根は高い断熱性能を持つ素材を使用し、エネルギー効率を高めます。雨水タンクを設置して洗車に利用するなど、エコロジーな機能を随所に取り入れます。

シームレス連結デザイン

ガレージと居住空間の境界を曖昧にし、開放的な空間を求める方におすすめです。

例:ガレージと居住空間の間の壁をガラス張りにし、視覚的に一体化させます。ガレージドアは透明度の高い素材を選び、閉めていても外の景色が楽しめるようにします。床材も統一感のあるものを選び、シームレスな空間の流れを作り出します。

これらのデザイン例は、あくまでも一例です。実際の設計では、自身のライフスタイルや好み、予算などを考慮し、専門家と相談しながら最適なデザインを選択することが大切です。また、地域の建築規制や法令にも注意を払い、適切なデザインを選ぶようにしましょう。

ビルトインガレージは、単なる車の収納場所ではなく、住まいの魅力を高める重要な要素となります。機能性と美しさを兼ね備えたデザインを選ぶことで、より快適で価値のある住空間を実現することができるでしょう。

よくある質問(Q&A)

ビルトインガレージに関して、多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で詳しく解説します。

Q1: ビルトインガレージは一般的な住宅よりも高額ですか?

A1: はい、一般的にビルトインガレージを備えた住宅は、通常の住宅よりも建築コストが高くなる傾向があります。これは、ガレージ部分の構造や設備にかかる追加コストが主な理由です。具体的には、防火区画の設置、換気設備、防音対策などが必要となります。ただし、土地の有効活用や多目的利用が可能になるため、長期的には価値のある投資と言えるでしょう。コストは物件の規模や仕様によって大きく異なりますが、一般的に通常の住宅と比べて10〜20%程度建築費が上がると考えられます。

Q2: ビルトインガレージは後から追加することはできますか?

A2: 既存の住宅にビルトインガレージを後から追加することは、技術的には可能ですが、非常に大規模な改修工事になるため、現実的ではありません。コストも高額になる上、構造上の問題も生じる可能性があります。また、建築基準法や消防法などの法規制への対応も必要となります。そのため、ビルトインガレージは新築時に計画することをおすすめします。もし既存の住宅で車庫が必要な場合は、カーポートの設置や別棟のガレージを建てるなどの代替案を検討するのが賢明です。

Q3: ビルトインガレージの換気はどのように行えばいいですか?

A3: ビルトインガレージの換気は非常に重要です。一般的には、機械換気システムを設置し、定期的に空気を入れ替えることが推奨されます。具体的には以下のような方法があります。

1. 排気ファンの設置:天井や壁に排気ファンを設置し、汚染された空気を外部に排出します。

2. 給気口の確保:新鮮な空気を取り入れるための給気口を設けます。

3. 24時間換気システムの導入:常時低速で換気を行うシステムを導入することで、常に新鮮な空気を維持します。

また、ガレージと居住スペースの間に気密性の高い扉を設置し、排気ガスが家屋内に侵入しないよう注意が必要です。専門家と相談しながら、適切な換気計画を立てることが大切です。

Q4: ビルトインガレージは寒くないですか?

A4: 適切な断熱対策を施せば、寒さは大きな問題にはなりません。以下のような対策が有効です。

1. 壁や天井への断熱材の施工

2. 断熱性能の高いガレージドアの選択

3. 床暖房やエアコンなどの暖房設備の導入

ただし、頻繁に車の出し入れをする場合は、外気が入り込むため、完全に室内と同じ温度を保つのは難しい場合があります。用途に応じて適切な断熱・暖房計画を立てることが重要です。

Q5: ビルトインガレージは防音効果がありますか?

A5: 適切な防音対策を施せば、ある程度の防音効果を得ることができます。以下のような対策が効果的です。

1. 防音材を使用した壁や天井の施工

2. 防音性能の高いガレージドアの選択

3. 二重窓の設置

4. 床にカーペットや防音マットを敷く

ただし、完全な防音は難しいため、エンジン音や開閉音が多少漏れる可能性はあります。特に深夜や早朝の車の出し入れには注意が必要です。

Q6: ビルトインガレージは車以外の用途にも使えますか?

A6: はい、ビルトインガレージは多目的に活用できます。以下のような用途が考えられます。

1. 趣味の作業スペース(DIY、車のメンテナンスなど)

2. ホームジム

3. 収納スペース

4. ホームオフィス

5. 子どもの遊び場

ただし、用途に応じて適切な換気、照明、断熱などの対策が必要です。また、建築基準法や消防法などの法規制に注意が必要で、居住用途として使用する場合は別途許可が必要になる場合があります。

これらの質問は、ビルトインガレージを検討する際によく聞かれるものです。具体的な計画を立てる際は、専門家に相談し、自身の状況やニーズに合わせた最適な解決策を見つけることをおすすめします。

まとめ

ビルトインガレージは、車の保管だけでなく、多目的に活用できる魅力的な空間です。しかし、その設計には慎重な検討が必要です。メリットとデメリットを十分に理解し、専門家のアドバイスを得ながら計画を進めることが重要です。土地探しの段階から建築家や設計士に相談し、自分たちの生活スタイルに合った理想のビルトインガレージを実現しましょう。適切な計画と設計により、ビルトインガレージは住まいの価値を高め、快適な生活をサポートする素晴らしい空間となるはずです。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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  • 代表者

    :渡辺知光

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