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雨樋(雨どい)の修理とメンテナンス方法や、交換・新規取り付けの相場や工期について解説

間取り・住宅の特徴

2024/07/22

2024/07/22

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

雨樋(雨どい)の修理とメンテナンス方法や、交換・新規取り付けの相場や工期について解説

雨樋は住宅の外観を彩るだけでなく、建物を雨水から守る重要な役割を果たしています。しかし、経年劣化や災害によって損傷することもあります。本記事では、雨樋の基本的な知識から、メンテナンス方法、修理・交換・新規取り付けの相場まで、詳しく解説します。

目次

雨樋(雨どい)とは?

屋根面を流れる雨水を誘導し、建物の腐食を防ぐ

雨樋は屋根に降った雨水を効率的に地面に導く装置です。これにより、雨水が壁面を伝って流れることを防ぎ、建物の腐食や劣化を防止します。

雨樋の素材はプラスチック製が9割

雨樋には様々な種類があり、材質、形状、取り付け方法によって分類されます。現代の住宅では、軽量で耐久性のあるプラスチック製の雨樋が主流です。その他、金属製(アルミ、銅など)や木製の雨樋もあります。

以下に、主な種類とその特徴を詳しく解説します。

1. 材質による分類

a) 塩化ビニル(塩ビ)製

・最も一般的で、全体の約90%を占める

・軽量で扱いやすく、価格も比較的安い

・耐久性は15〜20年程度

・紫外線による劣化に注意が必要

b) 金属製

・アルミ製:軽量で耐久性が高い(20〜30年)

・銅製:高級感があり、長寿命(30〜50年)だが高価

・亜鉛メッキ鋼板製:強度が高いが、錆びに注意が必要

c) 木製

・主に和風建築で使用

・見た目が美しいが、メンテナンスが必要

・耐久性は10〜15年程度

2. 形状による分類

a) 半丸樋

・最も一般的な形状

・排水能力が高く、詰まりにくい

b) 角樋

・モダンな外観を好む場合に選択

・直線的なデザインで、建物との調和が取りやすい

c) U字樋

・半丸樋と角樋の中間的な形状

・排水能力と見た目のバランスが良い

d) 谷樋

・屋根の谷間に設置する特殊な形状

・大量の雨水を効率的に排水できる

3. 取り付け方法による分類

a) 軒樋

・軒先に水平に取り付ける

・最も一般的な取り付け方法

b) 竪樋

・建物の壁面に垂直に取り付ける

・軒樋から地面まで雨水を導く

c) 軒先金具一体型

・軒先金具と雨樋が一体となった製品

・取り付けが簡単で、見た目もすっきりする

4. 特殊な雨樋

a) デザイン雨樋

・装飾性を重視した特殊な形状や色の雨樋

・建物の外観デザインの一部として機能する

b) 雨水利用システム用雨樋

・雨水を貯留タンクに導くための特殊な設計

・フィルター機能が付いていることが多い

c) 融雪型雨樋

・寒冷地用の特殊な雨樋

・ヒーター内蔵で、積雪や凍結を防ぐ

雨樋の選択には、建物の構造、地域の気候、予算、美観などを総合的に考慮する必要があります。適切な種類を選ぶことで、効果的な雨水処理と建物の保護、さらには美観の向上を実現できます。専門家に相談し、最適な雨樋を選択することをおすすめします。

玄関などの小さな屋根には、化粧樋で風情を楽しむ

和風建築などでは、銅製や竹製の化粧樋を使用することで、建物に風情を添えることができます。

飛来物による衝撃や過荷重によって破損する

強風で飛んできた枝や、大雪による重みで雨樋が破損することがあります。定期的な点検が重要です。

落ち葉や砂などが詰まってしまうことも

落ち葉や砂、小動物の巣などで雨樋が詰まると、正常に機能しなくなります。定期的な清掃が必要です。

雨樋のメンテナンス・修理方法とは?

雨樋の適切なメンテナンスと修理は、建物の長寿命化と美観の維持に不可欠です。以下に、詳細なメンテナンスと修理方法を解説します。

定期的な清掃

頻度:年2回(春と秋)を目安に行います。

方法:

・ゴム手袋を着用し、雨樋内の落ち葉やゴミを手で取り除きます。

・ホースで水を流し、詰まりがないか確認します。

・竪樋(縦樋)の下部から水を流し、排水状況を確認します。

破損箇所の確認と修理

確認ポイント:

・雨樋本体のひび割れや穴

・接合部のゆるみや外れ

・支持金具の腐食や変形

修理方法:

・小さな穴やひび割れ:専用の補修剤で塞ぎます。

・大きな破損:部分的な交換や全体の取り替えを検討します。

・接合部のゆるみ:専用の接着剤で固定します。

塗装のメンテナンス

頻度:5〜10年ごとに行います。

方法:

・表面の汚れを洗浄します。

・さびや劣化した塗装を除去します。

・下地処理を行い、専用の塗料で塗装します。

支持金具の点検と交換

確認ポイント:

・金具の腐食や変形

・ネジの緩み

対処方法:

・腐食や変形が見られる場合は、新しい金具に交換します。

・ネジの緩みは増し締めを行います。

勾配の調整

確認ポイント:

・雨水が適切に流れているか

・水たまりができていないか

調整方法:

・支持金具の位置を調整し、適切な勾配(1/100〜1/200)を確保します。

落ち葉除けネットの設置

方法:

・雨樋の上部に専用のネットを取り付けます。

・定期的にネットの清掃や交換を行います。

専門業者による定期点検

頻度:1〜2年に1回

内容:

・目視では確認しづらい箇所の点検

・専門的な機器を用いた漏水チェック

・全体的な状態評価と今後のメンテナンス計画の提案

これらのメンテナンスと修理を適切に行うことで、雨樋の寿命を延ばし、建物を雨水による損傷から守ることができます。高所作業を伴う場合は、安全のため必ず専門業者に依頼することをおすすめします。

雨樋の交換相場と工事日数について

雨樋の交換は、建物の規模や雨樋の種類、工事の範囲によって費用と日数が変わります。以下に、詳細な情報を提供します。

交換相場

戸建て住宅の場合:

・全体交換:15〜30万円程度

・部分交換:5〜15万円程度

マンションの場合(一戸あたり):

・全体交換:5〜10万円程度

・部分交換:3〜7万円程度

費用に影響する要因:

・建物の階数と規模

・雨樋の材質(塩ビ、金属など)

・雨樋の形状(半丸、角型など)

・足場の必要性

・地域による労務費の違い

工事日数

一般的な工事日数:

・戸建て住宅の全体交換:1〜2日

・戸建て住宅の部分交換:半日〜1日

・マンションの全体交換:3〜7日(複数戸の場合)

・マンションの部分交換:1〜2日

工事日数に影響する要因:

・建物の規模と複雑さ

・天候条件

・足場の設置が必要かどうか

・既存の雨樋の撤去にかかる時間

・追加の修繕作業の有無

交換時期の目安

・塩ビ製雨樋:15〜20年

・金属製雨樋:20〜30年

・木製雨樋:10〜15年

追加で発生する可能性のある費用

・足場設置費:5〜15万円

・軒樋の取り付け部分の補修:1〜3万円

・壁面の補修:3〜5万円

・雨水マスの交換:1〜2万円/箇所

コスト削減のポイント

・複数の業者から見積もりを取る

・部分交換で対応可能か確認する

・近隣住民と共同で工事を行い、足場費用を分担する

・定期的なメンテナンスで寿命を延ばす

交換時の注意点

・適切な径と勾配の雨樋を選択する

・耐久性の高い材質を選ぶ

・専門業者に依頼し、確実な施工を心がける

・交換後の排水状況を確認する

雨樋の交換は、建物を長期的に保護するための重要な投資です。費用と工期は様々な要因で変動するため、具体的な見積もりは複数の専門業者に相談することをおすすめします。また、定期的なメンテナンスを行うことで、雨樋の寿命を延ばし、交換の頻度を減らすことができます。

雨樋を取り付ける際に注意するポイント

雨樋の適切な取り付けは、建物の保護と美観の維持に不可欠です。以下に、雨樋を取り付ける際の重要なポイントを詳しく解説します。

外観になじむような色やデザインを選ぶ

・屋根や外壁の色と調和する色を選択します。

・建物の様式に合わせて、和風や洋風など適切なデザインを選びます。

・目立たせたくない場合は、外壁と同系色の雨樋を選択します。

リフォームの場合は、軒先のおさまりに注意を

・既存の軒先との干渉を避けるため、適切な取り付け位置を慎重に決定します。

・必要に応じて、軒先の一部を加工して雨樋を取り付けます。

・雨樋と軒先の隙間から雨水が浸入しないよう、適切な防水処理を行います。

バルコニーへの浸水を防ぐ部材を取り付けよう

・オーバーフロー防止のための堰(せき)を設置します。

・バルコニー上部の雨樋には、より大きな径のものを使用することを検討します。

・急な豪雨に備えて、予備の排水口を設置することも有効です。

貯水タンクを連結すれば安心&エコに

・雨水タンクの容量は、屋根面積と降水量を考慮して決定します。

・タンクへの接続部には、ゴミ除けフィルターを設置します。

・オーバーフロー時の排水経路も確保しておきます。

適切な勾配をつける

・水がスムーズに流れるよう、1/100〜1/200程度の勾配をつけます。

・長い区間では、途中に継手を入れて適切な勾配を維持します。

十分な支持間隔で固定する

・雨樋の種類や地域の積雪量に応じて、適切な間隔(通常60〜90cm)で支持金具を取り付けます。

・特に積雪地域では、より短い間隔での固定が必要です。

適切な径の雨樋を選択する

・屋根面積と降水量を考慮して、適切な径の雨樋を選びます。

・処理能力が不足すると、オーバーフローの原因となります。

接合部の防水処理を確実に行う

・各接合部には適切なシーリング材を使用し、確実に防水処理を行います。

・特に、異種金属間の接合部では電食防止の処理も必要です。

凍結対策を考慮する

・寒冷地では、凍結による破損を防ぐため、保温材を巻くなどの対策を講じます。

・必要に応じて、融雪ヒーターの設置も検討します。

周辺環境との調和を考える

・近隣の建物との調和を考慮し、極端に目立つデザインは避けます。

・地域の景観ルールがある場合は、それに従って選択・設置します。

これらのポイントに注意して雨樋を取り付けることで、機能性と美観を両立させた効果的な雨水処理システムを実現できます。専門的な知識と技術が必要なため、取り付け作業は必ず経験豊富な業者に依頼することをおすすめします。

雨樋の取り付け相場と工事日数について

雨樋の新規取り付けは、建物の規模や雨樋の種類、工事の複雑さによって費用と日数が変わります。以下に、詳細な情報を提供します。

取り付け相場

戸建て住宅の場合:

・全体取り付け:20〜40万円程度

・部分取り付け:10〜20万円程度

マンションの場合(一戸あたり):

・全体取り付け:8〜15万円程度

・部分取り付け:5〜10万円程度

費用に影響する要因:

・建物の階数と規模

・雨樋の材質(塩ビ、金属など)

・雨樋の形状(半丸、角型など)

・足場の必要性

・地域による労務費の違い

・既存の建物への取り付けの場合、追加の加工や補強の必要性

工事日数

一般的な工事日数:

・戸建て住宅の全体取り付け:2〜3日

・戸建て住宅の部分取り付け:1〜2日

・マンションの全体取り付け:4〜7日(複数戸の場合)

・マンションの部分取り付け:1〜3日

工事日数に影響する要因:

・建物の規模と複雑さ

・天候条件

・足場の設置が必要かどうか

・既存の建物への取り付けの場合、追加の加工や補強作業の有無

・雨水マスや排水設備の追加工事の有無

追加で発生する可能性のある費用

・足場設置費:5〜15万円

・軒下や外壁の補強工事:3〜10万円

・雨水マスの新設:2〜3万円/箇所

・排水管の設置:5〜10万円

コスト削減のポイント

・複数の業者から見積もりを取る

・新築工事や外壁塗装と同時に行う

・近隣住民と共同で工事を行い、足場費用を分担する

・耐久性の高い材質を選び、長期的なコストを抑える

取り付け時の注意点

・適切な径と勾配の雨樋を選択する

・建物の外観や周辺環境との調和を考慮する

・凍結対策や落ち葉対策を考慮する

・専門業者に依頼し、確実な施工を心がける

・取り付け後の排水状況を確認する

雨樋の新規取り付けは、建物を雨水から保護し、外観を整える重要な工事です。費用と工期は様々な要因で変動するため、具体的な見積もりは複数の専門業者に相談することをおすすめします。また、適切な設計と施工を行うことで、長期的な維持管理コストを抑えることができます。

よくある質問(Q&A)

Q1: 雨樋の寿命はどのくらいですか?

A1: 雨樋の寿命は材質によって異なります。一般的な目安は以下の通りです:

・塩ビ製:15〜20年

・金属製(アルミ、銅など):20〜30年

・木製:10〜15年

ただし、適切なメンテナンスを行うことで、寿命を延ばすことができます。

Q2: DIYで雨樋の修理はできますか?

A2: 安全面から、高所作業を伴う雨樋の修理は専門業者への依頼をおすすめします。ただし、地上から届く範囲での簡単な清掃や、小さな穴の補修などは可能です。DIYで行う場合は、適切な安全対策を講じてください。

Q3: 雨樋の音がうるさいのですが、対策はありますか?

A3: 雨樋の音を軽減する方法がいくつかあります:

・防音テープを雨樋の裏側に貼る

・雨樋の形状を変更する(例:角樋から丸樋へ)

・雨樋の勾配を調整する

・落ち口に消音器具を取り付ける

専門家に相談して、最適な対策を選ぶことをおすすめします。

Q4: 雨樋のない家は問題ありませんか?

A4: 雨樋がない場合、以下のような問題が発生する可能性があります:

・外壁の汚れや劣化が早まる

・基礎部分への雨水の浸透により、建物の劣化が進む

・庭や周辺地盤の浸食

・玄関や窓周りの水はねによる不快感

建物を長期的に保護するためには、雨樋の設置を検討することをおすすめします。

Q5: 雨樋の清掃はどのくらいの頻度で行うべきですか?

A5: 一般的に、年2回(春と秋)の清掃が推奨されます。ただし、周辺に落葉樹が多い場合や、鳥の巣作りが頻繁な地域では、より頻繁な清掃が必要になる場合があります。定期的に目視で確認し、必要に応じて清掃を行うのが良いでしょう。

Q6: 雨樋の色を変更することはできますか?

A6: はい、可能です。以下の方法があります:

・専用の塗料で塗り直す

・ラッピングフィルムを貼る

・新しい色の雨樋に交換する

ただし、塗装やラッピングは専門的な技術が必要なため、業者への依頼をおすすめします。

Q7: 雨樋の凍結対策はどうすればいいですか?

A7: 寒冷地での凍結対策として、以下の方法があります:

・雨樋に保温材を巻く

・電熱線(ヒーター)を設置する

・勾配を急にして水が溜まりにくくする

・落ち葉などの詰まりをこまめに取り除く

地域の気候条件に応じた適切な対策を選択することが重要です。

これらの質問と回答は、雨樋に関する一般的な疑問をカバーしています。具体的な状況や条件によっては、専門家に相談することをおすすめします。

まとめ:雨樋の重要性と適切な管理の必要性

雨樋は、一見目立たない建物の一部ですが、その役割は非常に重要です。適切に設置され、維持管理された雨樋は、以下のような多くの利点をもたらします:

1. 建物の保護:雨水による外壁や基礎の劣化を防ぎます。

2. 美観の維持:雨水の跳ね返りによる汚れを防ぎ、建物の外観を保ちます。

3. 庭の保護:雨水の適切な誘導により、庭の浸食を防ぎます。

4. 生活環境の向上:雨天時の玄関周りの水はねを防ぎ、快適な出入りを可能にします。

しかし、これらの利点を最大限に活かすためには、適切な設置、定期的なメンテナンス、そして必要に応じた修理や交換が不可欠です。以下の点に注意することで、雨樋の機能を長期にわたって維持することができます:

・定期的な清掃と点検(年2回程度)

・専門家による適切な設置と修理

・建物や周辺環境に合わせた適切な材質と設計の選択

・凍結や落ち葉などの地域特有の問題への対策

・計画的な交換や更新

また、雨樋は単なる雨水処理装置にとどまらず、雨水利用システムと連携させることで、環境に配慮した住まいづくりにも貢献できます。

最後に、雨樋に関する作業、特に高所での作業は危険を伴うため、安全面を考慮し、専門業者への依頼を強くおすすめします。適切な雨樋の管理は、建物の寿命を延ばし、快適で安全な住環境の維持につながります。長期的な視点で雨樋の重要性を理解し、適切な管理を行うことが、住まいの価値を守る重要な一歩となるでしょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

運営会社情報

  • 会社名

    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

  • 代表者

    :渡辺知光

  • 本社
    所在地

    :〒104-0045 東京都中央区築地2-15-15 セントラル東銀座1002

  • アクセス

    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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