住み替えでのダブルローンや住み替えローンの仕組みを徹底解説
家づくりの予算・費用
2024/11/21
2024/11/21
住み替えを検討する際に避けて通れないのが、ダブルローンの問題です。新居購入と同時に既存の住宅ローンも抱えることになるため、慎重な判断が必要となります。
今回の記事では、ダブルローンの基本的な仕組みを解説した後に、住み替えでダブルローンを使用する場合の利点や注意点、そして住み替えローンについて解説します。
目次
ダブルローンとは
ダブルローンとは、既存の住宅ローンの返済を続けながら、新たな住宅の購入のために2つ目の住宅ローンを組む状態のことを指します。主に住み替えの際に発生するケースで、新居を購入する前に既存の住宅が売却できない場合に検討される選択肢の一つです。
ダブルローンが発生する主なケース
ダブルローンが発生する代表的なケースとして、マイホームの住み替えが挙げられます。たとえば、子育て世帯で手狭になってきた、転勤が決まった、より便利な場所へ引っ越したいといった理由で新居を購入する際に、既存住宅がすぐに売却できない場合などです。
ダブルローンの利用がオススメな人
ダブルローンの活用が望ましい方として、以下のような特徴を持つ方が挙げられます。
・安定した収入があり、将来的な昇給も期待できる方
・既存の住宅ローンの返済に問題が無く、追加の返済余力がある方
・売却予定の物件が、比較的売れやすい立地や条件を備えている方
・両方のローンを抱えても、生活に支障をきたさない資金的な余裕がある方
ダブルローンを利用するための条件
金融機関がダブルローンを認める際の主な審査基準は以下の通りです。
・年収に対する2つのローンの返済総額が基準以内(一般的に年収の25%以内)であること
・安定した収入があり、返済能力が十分にあると判断されること
・既存の住宅ローンの返済に延滞がないこと
・勤務先や職種に安定性があること
ダブルローンを借りる際のポイント
ダブルローンを検討する際は、以下の点に特に注意を払う必要があります。
・できるだけ短期間での既存住宅の売却を目指すこと
・両方のローンの返済総額が収入に対して適切な範囲に収まっているか確認すること
・将来的な金利上昇のリスクも考慮に入れること
・不測の事態に備えて、ある程度の貯蓄を確保しておくこと
なお、ダブルローンの審査は通常の住宅ローンよりも厳格になる傾向があります。そのため、事前に複数の金融機関に相談し、実現可能性を確認しておくことをおすすめします。
年収600万円の場合でダブルローンをシミュレーション
年収600万円のケースで、具体的なダブルローンの返済シミュレーションを見ていきましょう。住宅ローンの借入可能額や返済額の目安を、実例を交えて解説します。
基本となる返済額の目安
年収600万円の場合、一般的な金融機関の審査基準では以下のような目安となります。
・月収:50万円(年収600万円÷12ヶ月)
・返済総額の上限:12.5万円(月収の25%が目安)
・既存住宅ローン返済額:7万円
・新規住宅ローンの返済可能額:5.5万円
具体的な借入シミュレーション例
既存の住宅ローン残高が1,500万円、新規に購入する住宅の価格が3,000万円のケースを想定してみましょう。
【既存住宅ローン】
・借入残高:1,500万円
・返済額:月々7万円
・残返済期間:20年
【新規住宅ローン】
・借入額:2,400万円(頭金600万円)
・返済額:月々5.5万円
・返済期間:35年
返済負担率の計算
この場合の返済負担率は以下のように計算されます。
・月々の総返済額:12.5万円(7万円+5.5万円)
・年間返済総額:150万円(12.5万円×12ヶ月)
・返済負担率:25%(年間返済総額÷年収)
生活費シミュレーション
月収50万円から以下のような支出を想定した場合の収支を確認します。
・住宅ローン返済:12.5万円
・生活費(食費・光熱費など):15万円
・教育費:5万円
・保険料:3万円
・その他固定費:5万円
・預貯金:9.5万円
リスク管理の重要性
ダブルローン期間中は以下のようなリスクに備える必要があります。
・金利上昇リスク:変動金利の場合、返済額が増加する可能性
・収入減少リスク:病気や失業などによる収入低下
・既存住宅の売却遅延リスク:予定より売却が遅れた場合の対応
シミュレーション時の注意点
ダブルローンのシミュレーションを行う際は、以下の点に特に注意が必要です。
・返済額は余裕を持った設定にすること
・将来の収入変動も考慮に入れること
・緊急時の支出に備えた貯蓄を確保すること
・できるだけ早期に既存住宅を売却する計画を立てること
なお、このシミュレーションはあくまで一例です。実際の借入れに際しては、金融機関に相談の上、より詳細な審査と計画が必要となります。
住み替えでダブルローンを利用する場合のメリット・デメリット
住み替え時にダブルローンを利用することは、メリットとデメリットの両面があります。ここでは、実際の事例を交えながら、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
ダブルローン利用のメリット
住み替え時にダブルローンを利用する最大のメリットは、理想の物件との出会いを逃さないことです。不動産市場では、希望通りの条件の物件に出会える機会は限られています。既存住宅の売却を待っていては、理想の物件を逃してしまう可能性が高くなってしまいます。
また、引越しの準備に余裕を持って取り組めることも大きな利点です。既存住宅に住みながら、新居の内装や設備の工事を進められるため、計画的な住み替えが可能になります。特に子育て世帯や高齢者がいる家庭では、この時間的余裕は非常に重要となってきます。
さらに、既存住宅の売却を焦る必要がないため、適正価格での売却が期待できます。不動産市場の状況を見極めながら、じっくりと買い手を探すことができるのです。
ダブルローン利用のデメリット
一方で、ダブルローンには注意すべき点も多く存在します。最も大きな課題は、二重の住宅ローン返済による経済的負担です。月々の返済額が大幅に増加するため、家計への影響は避けられません。また、この期間中は他の支出を抑える必要が出てくるため、生活様式の見直しを迫られる可能性もあります。
次に懸念されるのが、既存住宅が予定通り売却できないリスクです。不動産市場の変動や、物件の立地条件によっては、想定以上に売却に時間がかかることもあります。その場合、ダブルローンの期間が長期化し、さらなる経済的負担を強いられる可能性があります。
また、金利変動のリスクも見過ごせません。特に変動金利を選択している場合、金利上昇により返済額が増加する可能性があります。二つのローンを抱えている状態では、その影響は倍増することになります。
ダブルローン利用時の対策
これらのデメリットに対しては、適切な対策を講じることが重要です。まず、既存住宅の売却可能性について、事前に複数の不動産会社に相談し、市場評価を得ておくことをお勧めします。売却までの期間や想定される売却価格を把握しておくことで、より現実的な計画を立てることができます。
また、ダブルローン期間中の家計管理も重要です。予期せぬ支出に備えて、ある程度の貯蓄を確保しておく必要があります。さらに、所得補償保険などのリスクヘッジ策も検討に値するでしょう。
最適な判断のために
ダブルローンの利用を検討する際は、自身の経済状況を客観的に分析することが重要です。具体的には、年収に対する返済額の割合、貯蓄額、将来の収入見通しなどを総合的に判断する必要があります。
また、既存住宅の売却見込みについても、立地や築年数、周辺の取引事例などから慎重に見極めることが大切です。必要に応じて、不動産の専門家や金融機関のアドバイスを受けることも検討しましょう。
最終的には、メリット・デメリットを十分に理解したうえで、自身の状況に合わせて判断することが重要です。ダブルローンは決して避けるべきものではありませんが、慎重な計画と準備が必要な選択肢であることを忘れてはいけません。
住み替え時の買い先行(購入先行)・売り先行(売却先行)の違い
住み替えを行う際に、まず検討しなければならないのが「買い先行」と「売り先行」の選択です。それぞれにメリットとデメリットがあり、自身の状況に合わせて慎重に判断する必要があります。
買い先行(購入先行)とは
買い先行とは、現在の住宅を売却する前に新居を購入する方法です。この場合、必然的にダブルローンが発生することになります。理想の物件を見つけた際に、すぐに購入の判断ができるため、希望通りの住み替えが実現できる可能性が高くなります。
また、引っ越しのタイミングを柔軟に設定できることも大きな特徴です。新居の内装工事や設備の取り付けなどを、現在の住まいに住みながら進められるため、特に子育て世帯や高齢者のいる家庭では大きなメリットとなります。
売り先行(売却先行)とは
売り先行とは、現在の住宅を売却してから新居を購入する方法です。この場合、ダブルローンの負担は発生しませんが、一時的に賃貸住宅などに住む必要が出てくる可能性があります。資金的な負担は軽減されますが、二度の引っ越しが必要になるケースもあります。
ただし、既存住宅の売却金額が確定してから新居を探せるため、予算設定が明確になり、より計画的な住み替えが可能になるというメリットがあります。
それぞれの資金計画の特徴
買い先行の場合、新居購入資金と既存の住宅ローンの両方を用意する必要があります。そのため、金融機関の審査基準も厳格になりがちです。一方で、売り先行の場合は、既存住宅の売却資金を新居の購入資金に充てることができるため、新規の借入額を抑えることが可能です。
ただし、売り先行の場合でも、一時的な住居費用や引っ越し費用が二重にかかる可能性があることは考慮しておく必要があります。
選択のポイント
買い先行と売り先行のどちらを選ぶかは、以下のような要素を総合的に判断する必要があります。まず、自身の経済状況が最も重要な判断材料となります。ダブルローンに耐えられる返済能力があるかどうかを慎重に見極める必要があります。
また、現在の住宅市場の状況も重要な要素です。売却に時間がかかりそうな場合は、買い先行のリスクが高まります。逆に、希望の物件が少ない場合は、売り先行だと理想の物件を見つけるのに時間がかかる可能性があります。
それぞれの選択時の注意点
買い先行を選択する場合は、既存住宅の売却見込みを慎重に見極める必要があります。複数の不動産会社に相談し、売却にかかる期間や想定される売却価格について、できるだけ正確な情報を得ておくことが重要です。
一方、売り先行を選択する場合は、仮住まいの確保や引っ越し費用の二重負担などを考慮に入れた計画を立てる必要があります。また、売却後に理想の物件が見つからない場合のリスクも考慮しておく必要があります。
住み替え計画のポイント
どちらの方法を選択する場合でも、十分な準備期間を設けることが重要です。特に、買い先行の場合は、売却活動を並行して進める必要があるため、不動産会社との密な連携が欠かせません。
また、予期せぬ事態に備えて、ある程度の余裕資金を確保しておくことも大切です。住み替えは予定通りに進まないことも多く、柔軟な対応が求められます。
結論として、買い先行と売り先行の選択は、自身の経済状況、生活環境、市場状況などを総合的に判断して決める必要があります。どちらが正解というわけではなく、それぞれの状況に応じて最適な方法を選択することが重要です。
買い先行(購入先行)でダブルローンを組む際の注意点
買い先行で住み替えを行う場合、ダブルローンは避けて通れない課題となります。ここでは、安全にダブルローンを組むための重要なポイントと注意点について、詳しく解説していきます。
事前の資金計画の重要性
買い先行でダブルローンを組む際、最も重要なのが綿密な資金計画です。現在の住宅ローンの返済額に加えて、新たな住宅ローンの返済が発生するため、家計への影響は避けられません。少なくとも半年から1年分の返済資金を事前に確保しておくことが望ましいでしょう。
また、新居購入に伴う諸費用(税金、登記費用、引っ越し費用など)も考慮に入れる必要があります。予期せぬ支出に備えて、通常より多めの資金を準備しておくことをお勧めします。
金融機関の審査対策
ダブルローンの場合、金融機関の審査は通常よりも厳格になります。特に年収に対する返済負担率は重要な審査ポイントとなります。一般的に、2つのローンを合わせた年間返済額が年収の25%を超えないことが望ましいとされています。
また、勤務先の安定性や将来の収入見通しも重要な判断材料となります。可能であれば、昇給や賞与の見込みなど、収入増加が期待できる材料があれば、審査時に提示することも検討しましょう。
既存住宅の売却計画
既存住宅の売却見込みは、ダブルローンの期間を左右する重要な要素です。売却までの期間が長引けば、それだけ経済的負担も増加します。そのため、事前に複数の不動産会社に相談し、売却にかかる期間や想定される売却価格について、できるだけ正確な情報を得ておく必要があります。
特に、立地条件や築年数、周辺の取引事例なども踏まえて、現実的な売却計画を立てることが重要です。売却価格の設定は慎重に行い、必要以上に高値を期待しないことも大切です。
生活面での対策
ダブルローン期間中は、家計の見直しが必要になることがほとんどです。固定費の見直しや、不要な支出の削減など、できるところから支出を抑える工夫が必要です。特に、教育費や保険料など、定期的な支出については、前もって見直しを検討しておくことをお勧めします。
また、光熱費などの変動費についても、節約できる部分がないか見直してみましょう。ダブルローン期間中は、できるだけ支出を抑える生活設計が求められます。
リスク対策の重要性
ダブルローン期間中は、予期せぬ事態に備えたリスク対策も重要です。特に、失業や病気などで収入が途絶えた場合の対策は必須です。所得補償保険への加入や、緊急時の貯蓄確保など、万が一の事態に備えた準備を整えておく必要があります。
また、金利上昇リスクへの対策も必要です。特に変動金利を選択している場合は、将来の金利上昇に備えて、ある程度の余裕を持った返済計画を立てておくことが重要です。
専門家への相談
ダブルローンは複雑な資金計画が必要となるため、可能であれば、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。特に、住宅ローンの組み方や、税金面での優遇措置の活用など、専門的なアドバイスを得ることで、より効率的な資金計画を立てることができます。
買い先行でダブルローンを組む際は、慎重な計画と十分な準備が不可欠です。特に、資金計画、売却計画、リスク対策の3点については、できるだけ具体的な計画を立てておくことが重要です。また、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも、安全なダブルローン実現のためのポイントといえるでしょう。
残債分もまとめて借りられる住み替えローン(買い替えローン)
住み替えの際に注目したい選択肢として、残債分もまとめて借りられる住み替えローン(買い替えローン)があります。この特殊な住宅ローンの仕組みや特徴、活用のポイントについて詳しく解説していきます。
住み替えローンの基本的な仕組み
住み替えローンとは、既存の住宅ローンの残債と新しい住宅の購入資金を一本化して借り入れできる住宅ローン商品です。通常のダブルローンとは異なり、一つのローンにまとめることで、手続きの簡素化や金利面での優遇を受けられる可能性があります。
具体的には、新規の住宅購入資金に既存住宅ローンの残債を上乗せする形で借り入れを行います。これにより、二つのローンを抱えるのではなく、一つのローンで管理できるようになります。
住み替えローンのメリット
最大のメリットは、返済管理が一本化されることです。通常のダブルローンでは、二つの返済を別々に管理する必要がありますが、住み替えローンでは一つの返済に統合されるため、管理が容易になります。
また、金利面でも有利な場合があります。既存のローンと新規のローンを一本化することで、全体として有利な金利条件を引き出せる可能性があります。特に、既存ローンの金利が高い場合は、借り換えによる金利低下のメリットも期待できます。
審査のポイント
住み替えローンの審査では、通常の住宅ローン以上に詳細な審査が行われます。特に重視されるのが、安定した収入があるかどうかという点です。既存ローンの返済履歴も重要な判断材料となり、延滞などがある場合は審査に通りにくくなります。
また、新規の物件価値や、既存住宅の売却可能性についても慎重に審査されます。金融機関としては、一つのローンで大きな金額を貸し付けることになるため、担保価値や返済能力について、より慎重な判断を行うことになります。
活用する際の注意点
住み替えローンを活用する際は、総借入額が増加することに注意が必要です。既存ローンの残債を含めて借り入れを行うため、借入総額は必然的に大きくなります。そのため、返済期間や毎月の返済額については、慎重に検討する必要があります。
また、金融機関によって商品内容や条件が大きく異なる場合があります。金利条件や手数料、付帯サービスなどについて、複数の金融機関で比較検討することをお勧めします。
利用に適した状況
住み替えローンは、特に以下のような状況で効果的です。まず、既存の住宅ローンの金利が現在の市場金利と比べて高い場合です。この場合、借り換えによる金利低下のメリットを享受できます。
また、現在の収入に余裕があり、安定した返済が見込める場合も、住み替えローンの活用を検討する価値があります。特に、将来的な収入増加が期待できる場合は、より前向きな検討が可能です。
申し込みから実行までの流れ
住み替えローンの申し込みでは、通常の住宅ローン以上に準備が必要です。既存ローンの返済履歴や残債証明書、収入証明書などの書類に加え、新規購入物件に関する資料も必要となります。
また、既存住宅の売却計画についても、具体的な見通しを立てておく必要があります。金融機関は、売却計画の実現可能性についても審査の対象とします。
将来を見据えた計画づくり
住み替えローンを利用する際は、長期的な視点での計画づくりが重要です。特に、返済期間の設定については、自身のライフプランに合わせて慎重に検討する必要があります。将来の教育費や退職後の生活なども考慮に入れた計画を立てることをお勧めします。
なお、住み替えローンの選択は、家計に大きな影響を与える重要な決定となります。必要に応じて、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することも、賢明な選択といえるでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q:ダブルローンの期間はどのくらいが適切ですか?
A:できるだけ短期間に抑えることが望ましく、通常は3ヶ月から6ヶ月程度を目安とします。
Q:既存住宅が売れない場合はどうなりますか?
A:賃貸に出すなどの対策も考えられますが、事前に不動産会社に相談し、売却の見込みを確認しておくことが重要です。
まとめ
ダブルローンは、慎重に検討すべき選択肢の一つです。収入や返済能力を正確に把握し、リスクも十分に理解したうえで判断することが大切です。また、専門家に相談しながら、具体的なプランを立てていくことをおすすめします。
なお、当社では住宅ローンに関する無料相談を承っております。ダブルローンに関する不安や疑問点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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