【フラット35】Sの仕組みや利用条件、返済シミュレーションを解説
家づくりの予算・費用
2024/11/22
2024/11/22
住宅ローンの選択肢として人気の高い【フラット35】。その中でも、より金利が優遇される【フラット35】Sについて、仕組みや条件、通常の【フラット35】との違いなど、詳しく解説していきます。検討されている方の判断材料としてぜひご活用ください。
目次
【フラット35】Sとは
【フラット35】Sは、住宅金融支援機構が提供する長期固定金利住宅ローン【フラット35】の金利優遇制度です。省エネ性能や耐震性能などが、一定基準を満たす質の高い住宅を取得する場合に、通常の【フラット35】より借入金利が一定期間引き下げられる仕組みとなっています。
【フラット35】Sのタイプと優遇内容
【フラット35】Sには、住宅の性能に応じて2つのタイプがあります。「S」は基準を満たす住宅で当初5年間、年0.25%の金利引き下げ、「Sプラス」はより高い基準を満たす住宅で当初10年間、年0.25%の金利引き下げを受けることができます。
制度活用のメリット
金利優遇により、当初の返済負担を軽減できることが最大のメリットです。また、質の高い住宅を取得することで、将来的な光熱費の削減や、災害に対する安全性の確保といった副次的なメリットも期待できます。
対象となる住宅性能の基準
【フラット35】Sの対象となる性能基準は、次の4つの項目のいずれかを満たす必要があります。
省エネルギー性:断熱性能、省エネ設備の基準を満たすもの
耐震性:耐震等級が規定の等級以上のもの
バリアフリー性:段差解消や手すり設置などの基準を満たすもの
耐久性・可変性:長期優良住宅認定を受けているものなど
【フラット35】Sの特徴
長期優良住宅やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など、高い性能基準を満たす住宅であれば、より長期の金利優遇が受けられます。また、新築住宅だけでなく、一定の条件を満たす中古住宅も対象となります。
予算制度としての性質
【フラット35】Sは国の予算に基づく制度であるため、年度途中でも予算超過により受付が終了する場合があります。そのため、利用を検討する場合は、早めに申込みの準備を進めることが重要です。
金利優遇期間後の注意点
優遇期間が終了すると、以降は通常の【フラット35】の金利が適用されます。返済計画を立てる際は、優遇期間終了後の返済額増加も考慮に入れる必要があります。また、一度優遇を受けた物件で再度の申込みはできないため、計画的な資金計画が求められます。
【フラット35】Sのメリットや注意点
住宅ローンの選択肢として注目される【フラット35】S。ここでは、この制度を利用する際のメリットと注意すべきポイントについて、詳しく解説していきます。ローン選びの判断材料としてご活用ください。
【フラット35】Sの主なメリット
最大のメリットは、当初の返済負担が軽減されることです。通常の【フラット35】と比べて金利が年0.25%引き下げられることで、毎月の返済額を抑えることができます。例えば、借入額3,000万円、返済期間35年の場合、毎月の返済額が数千円程度削減されます。
金利優遇によるコスト削減効果
金利優遇期間中の総支払額の削減効果は、借入額や返済期間によって異なります。優遇期間5年の場合、5年間で数十万円程度の支払額削減が見込めます。10年間の優遇が適用される場合は、さらに大きな削減効果が期待できます。
住宅の質的向上による副次的メリット
省エネ性能や耐震性能などの基準を満たす住宅を選ぶことで、光熱費の削減や災害時の安全性確保といった、金銭面以外のメリットも得られます。長期的な視点で見ると、住宅の資産価値の維持にもつながる可能性があります。
注意すべき主なポイント
制度利用にあたっては、いくつかの重要な注意点があります。優遇期間が終了すると通常の金利に戻り、返済額が増加します。また、住宅には一定以上の性能基準が求められ、そのための追加コストが発生する可能性があることにも留意が必要です。
予算制度としての制約
【フラット35】Sは国の予算に基づく制度であるため、年度内でも予算超過により受付が終了する場合があります。利用を検討する場合は、この点も考慮に入れた計画立てが重要です。
審査基準と必要書類
通常の住宅ローンと同様の審査基準に加え、住宅の性能証明書など追加の書類が必要となります。これらの準備には時間がかかる場合もあるため、早めの対応が推奨されます。
返済計画における考慮点
金利優遇期間終了後の返済額増加を見据えた計画が必要です。また、一度優遇を受けた物件での再利用はできないため、長期的な視点での資金計画が求められます。住宅購入時の諸費用や、将来的な修繕費用なども含めた総合的な検討が重要です。
制度変更のリスク
国の施策として実施される制度であるため、将来的に制度内容が変更される可能性があります。特に申込みを検討している段階では、最新の制度内容を確認することが重要です。
【フラット35】Sと【フラット35】の違い
住宅ローンを検討する際に混同しやすい【フラット35】Sと【フラット35】。ここでは、両者の違いについて詳しく解説していきます。それぞれの特徴を理解することで、より適切な住宅ローンの選択が可能になります。
金利面での違い
最も大きな違いは金利優遇の有無です。【フラット35】は基準金利での借入れとなりますが、【フラット35】Sは一定期間、年0.25%の金利優遇を受けることができます。ただし、【フラット35】Sの金利優遇は期間限定であり、優遇期間終了後は通常の【フラット35】と同じ金利となります。
住宅性能基準の違い
【フラット35】は一般的な技術基準を満たせば利用可能ですが、【フラット35】Sはより高い性能基準を満たす必要があります。省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかにおいて、定められた基準をクリアしなければなりません。
申込み手続きの違い
【フラット35】Sは、通常の【フラット35】の申込書類に加えて、住宅の性能を証明する書類が必要となります。また、予算制度であるため、年度内でも受付が終了する可能性があるという違いもあります。
対象となる住宅の範囲
【フラット35】は基本的な技術基準を満たす住宅であれば利用可能です。一方、【フラット35】Sは高い性能基準が求められるため、対象となる住宅の範囲が限定されます。特に中古住宅の場合、【フラット35】Sの利用にはより厳格な条件を満たす必要があります。
コスト面での違い
【フラット35】Sは高い性能基準を満たす必要があるため、住宅建築時や購入時のコストが【フラット35】より高くなる可能性があります。ただし、金利優遇により返済負担が軽減されるため、長期的なコスト比較が重要となります。
制度としての性質の違い
【フラット35】は恒常的な住宅ローン制度ですが、【フラット35】Sは政策的な優遇制度という性質を持ちます。そのため、【フラット35】Sは将来的に制度内容が変更される可能性が比較的高いという特徴があります。
返済プランの柔軟性
【フラット35】は返済期間や借入額の設定に比較的柔軟性がありますが、【フラット35】Sは優遇期間が固定されているため、返済プランの設計にはその点を考慮する必要があります。特に、優遇期間終了後の返済額増加を見据えた計画が重要です。
メリットの発現時期
【フラット35】は全期間を通じて一定の金利で借入れができる一方、【フラット35】Sは当初の一定期間のみ優遇が適用されます。そのため、住宅取得後の初期費用負担を特に軽減したい場合は【フラット35】Sが有利となる可能性が高くなります。
【フラット35】Sを利用するための条件
【フラット35】Sの利用には、通常の住宅ローンの審査基準に加えて、住宅性能に関する特別な条件を満たす必要があります。ここでは、利用するために必要な条件について詳しく解説していきます。
基本的な利用条件
年齢や収入などの基本条件は通常の【フラット35】と同様です。申込時の年齢が70歳未満であること、安定した収入があること、年収に占める返済額の割合が基準内であることなどが求められます。また、日本国籍を有する方、永住許可を受けている方が対象となります。
住宅性能に関する条件
【フラット35】Sを利用するためには、次の4つの基準のいずれかを満たす必要があります。より高い性能基準を満たす場合は、優遇期間が延長される可能性があります。省エネルギー性については断熱等性能等級4以上、耐震性については耐震等級2以上、バリアフリー性については高齢者等配慮対策等級3以上、耐久性・可変性については劣化対策等級3かつ維持管理対策等級2以上が求められます。
新築住宅の場合の条件
新築住宅の場合、建築基準法に適合していることはもちろん、住宅性能評価書や建設住宅性能評価書などの公的な証明書類が必要となります。また、工事完了前のお申し込みの場合は、設計住宅性能評価書などの書類も求められます。
中古住宅の場合の条件
中古住宅の場合は、新築住宅よりも厳格な条件が設定されています。築年数や耐震基準、リフォーム履歴などの条件を満たす必要があります。また、住宅性能に関する基準適合証明書や耐震性能評価書などの書類が必要となります。
所得に関する条件
年収に占める返済額の割合は、【フラット35】の基準に準じます。年収の上限はありませんが、年収に対する返済負担率が一定の基準以下である必要があります。また、安定的な収入があることを証明する書類の提出が求められます。
物件価額に関する条件
物件価額については、土地・建物を含めた総額が1億円以下であることが条件となります。また、借入申込金額は100万円以上8,000万円以下の範囲内である必要があります。なお、土地取得費用やリフォーム費用なども借入対象に含めることが可能です。
必要書類に関する条件
通常の住宅ローンの申込書類に加えて、住宅の性能を証明する書類が必要となります。性能証明書や住宅性能評価書、長期優良住宅認定通知書など、住宅の性能によって必要な書類が異なります。また、これらの書類の取得には一定の時間と費用がかかることにも注意が必要です。
その他の特記事項
【フラット35】Sは予算制度であるため、年度内でも予算超過により受付が終了する場合があります。また、一度利用した物件での再利用はできないため、計画的な利用が求められます。さらに、制度内容は将来的に変更される可能性があるため、申込み時点での最新の条件を確認することが重要です。
【フラット35】Sの返済額をシミュレーション
【フラット35】Sの具体的な返済額について、いくつかの条件設定でシミュレーションを行い、実際の負担額をわかりやすく解説していきます。金利優遇による効果を具体的な数字で確認することで、住宅ローン選びの参考にしていただければと思います。
基本的なシミュレーション例
最も一般的な借入パターンとして、借入額3,000万円、返済期間35年のケースを見てみましょう。基準金利が年2.00%の場合、【フラット35】Sなら当初5年間は年1.75%となります。この場合、毎月の返済額は通常の約95,000円から約90,000円に軽減され、5年間で約30万円の支払い削減効果が得られます。
借入額による返済額の違い
借入額2,000万円の場合は、毎月の返済額が約63,000円から約60,000円に、4,000万円の場合は約127,000円から約120,000円に軽減されます。借入額が大きくなるほど、金利優遇による毎月の返済額軽減効果も大きくなる傾向にあります。
返済期間による影響
借入額3,000万円で返済期間を25年とした場合、毎月の返済額は約115,000円から約109,000円に軽減されます。一方、返済期間を35年にすると約95,000円から約90,000円となります。返済期間が長くなるほど、毎月の返済額は少なくなりますが、総支払額は増加します。
優遇期間の違いによる効果
優遇期間が10年間となる【フラット35】Sプラスの場合、借入額3,000万円、返済期間35年のケースでは、10年間で約60万円の支払い削減効果が得られます。ただし、優遇期間終了後は通常の金利に戻るため、返済額の増加に備えた計画が必要です。
総支払額の比較
借入額3,000万円、返済期間35年の場合、通常の【フラット35】での総支払額は約4,000万円程度となります。一方、【フラット35】Sを利用すると、優遇期間中の支払額削減により、総支払額を数十万円程度抑えることができます。
繰り上げ返済を考慮したケース
金利優遇期間中に繰り上げ返済を行う場合、より大きな返済負担軽減効果が期待できます。例えば、5年目に100万円の繰り上げ返済を行った場合、以降の毎月の返済額をさらに数千円程度軽減することが可能です。
諸費用を含めた実質的な負担
住宅ローンの返済額に加えて、火災保険料や固定資産税などの諸費用も考慮する必要があります。借入額3,000万円の場合、これらの諸費用を含めると、実質的な月々の支出は返済額に加えて2~3万円程度増加すると想定されます。
収入に対する返済負担率の確認
世帯年収600万円の場合、借入額3,000万円で毎月の返済額が約90,000円とすると、返済負担率は約18%となります。一般的に返済負担率は25%以下が望ましいとされており、この範囲内に収まっているかの確認も重要です。
よくある質問
【フラット35】Sについて、お客様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。住宅ローン選びの参考にしていただければと思います。
申込みに関する質問
Q1:【フラット35】Sは中古住宅でも利用できますか?
A1:はい、利用できます。ただし、築年数や耐震基準など、新築住宅よりも厳格な条件を満たす必要があります。また、住宅性能を証明する書類の提出が必要です。
Q2:申込み時期による制限はありますか?
A2:予算制度のため、年度内でも予算超過により受付が終了する場合があります。検討されている方は、早めの申込みをお勧めします。
Q3:他の住宅ローンとの併用は可能ですか?
A3:可能です。ただし、併用できる住宅ローンの種類や限度額に制限がある場合があります。事前に金融機関への確認をお勧めします。
金利優遇に関する質問
Q1:金利優遇期間終了後も再度申し込めますか?
A1:いいえ、同一物件での再利用はできません。優遇期間終了後は通常の【フラット35】の金利が適用されます。
Q2:優遇期間を延長することは可能ですか?
A2:いいえ、優遇期間の延長はできません。ただし、当初から【フラット35】Sプラスの条件を満たす場合は、10年間の優遇を受けることができます。
住宅性能に関する質問
Q1:どのような性能基準を満たせばよいのですか?
A1:省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のいずれかの基準を満たす必要があります。具体的な基準は、各性能区分で定められた等級以上を満たす必要があります。
Q2:性能証明書の取得にはどのくらい時間がかかりますか?
A2:通常2週間から1ヶ月程度かかります。建物の規模や申請時期によって異なるため、余裕をもった準備が推奨されます。
返済に関する質問
Q1:繰り上げ返済は可能ですか?
A1:はい、可能です。ただし、繰り上げ返済には手数料がかかる場合があります。また、返済方法には一部制限がある場合もあります。
Q2:返済期間の途中で変更はできますか?
A2:基本的に、返済期間の変更はできません。当初の契約内容で返済を継続する必要があります。
審査に関する質問
Q1:年収の制限はありますか?
A1:年収の上限制限はありませんが、年収に対する返済負担率が基準を満たす必要があります。一般的に返済負担率は25%以下が目安とされています。
Q2:自営業でも利用できますか?
A2:はい、利用できます。ただし、確定申告書の写しなど、安定した収入を証明できる書類の提出が必要です。
諸費用に関する質問
Q1:【フラット35】Sを利用する場合、通常より費用は高くなりますか?
A1:性能基準を満たすための住宅仕様により、建築費用が若干高くなる可能性があります。ただし、金利優遇による返済負担の軽減効果も考慮する必要があります。
Q2:性能証明書の取得費用はどのくらいですか?
A2:物件の規模や証明内容によって異なりますが、一般的に数万円から10万円程度が目安となります。
まとめ
【フラット35】Sは、性能の良い住宅を取得する際に金利優遇が受けられる制度です。ただし、優遇期間が限定的であることや、住宅に求められる性能基準が厳格であることなど、いくつかの注意点があります。資金計画を立てる際は、長期的な視点で検討することをお勧めします。
なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。
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