新築マンションの固定資産税の築年数別シミュレーション、軽減措置を解説
家づくりの予算・費用
2024/11/26
2024/11/26
マンション購入を検討する際、気になるのが固定資産税の金額ではないでしょうか。新築マンションの場合、一定期間の軽減措置が適用されるため、中古マンションとは異なる計算方法となります。今回は、新築マンションの固定資産税について、軽減措置の内容や築年数別のシミュレーションなど、詳しく解説していきます。
固定資産税とは
固定資産税とは、土地・建物・償却資産といった固定資産を所有している方に対して、毎年課税される市町村税です。
課税対象となる固定資産
固定資産税の課税対象は以下の3つに分類されます。
土地:宅地、田畑、山林など
家屋:住宅、店舗、工場など
償却資産:事業用の機械、備品など
マンションの場合は、専有部分の建物と敷地権の土地が課税対象となります。
固定資産税の計算方法
固定資産税は次の計算式で算出されます。 固定資産税額 = 課税標準額(固定資産の評価額)× 税率(1.4%) 例えば、評価額1,000万円の物件の場合、 1,000万円 × 1.4% = 14万円 が年間の固定資産税額となります。
固定資産税の納付について
固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に課税されます。通常、年4回に分けて納付することができ、各市区町村が定める納期限までに支払う必要があります。納税通知書は、毎年4月から5月頃に市区町村から送付されます。
固定資産の評価方法
固定資産の評価額は、3年に1度の評価替えで見直されます。土地については地価公示価格の7割程度を目安に評価され、建物については建築費から経年減価を考慮して評価されます。この評価額をもとに課税標準額が決定されます。
固定資産税における特例措置
固定資産税には様々な特例措置が設けられています。住宅用地については、小規模住宅用地(200㎡以下)は評価額の6分の1、一般住宅用地(200㎡超)は評価額の3分の1に軽減される特例があります。また、新築住宅については一定期間、税額が2分の1に軽減される制度もあります。
固定資産税と都市計画税
固定資産税と併せて都市計画税が課税される地域もあります。都市計画税は、都市計画事業や土地区画整理事業に要する費用に充てるための目的税で、税率は0.3%が上限となっています。固定資産税と同様の基準で課税され、通常は固定資産税と一緒に納付します。
新築マンションの固定資産税
新築マンションの固定資産税は、土地部分と建物部分の合計額となります。購入価格をもとに計算するのではなく、それぞれの固定資産税評価額に基づいて算出されるため、実際の購入価格とは異なる金額となることがあります。
土地部分の固定資産税
マンションの土地部分の固定資産税は、敷地全体の固定資産税評価額に対して、専有面積の割合に応じて按分された金額に対して課税されます。例えば、敷地全体の評価額が1億円で、専有面積の割合が全体の3%の場合、300万円分の評価額に対して課税されることになります。
建物部分の固定資産税
建物部分の固定資産税は、マンション全体の建物評価額のうち、専有部分の床面積割合に応じて計算されます。新築時は建物の評価額が最も高く、その後、経年劣化による減価償却で評価額は毎年下がっていきます。一般的に1年につき約1.4%ずつ評価額が減少していきます。
具体的な計算例
購入価格5,000万円(土地2,000万円、建物3,000万円)の新築マンションの場合:
土地の評価額(課税標準額):1,400万円(地価公示価格の7割程度)
建物の評価額(課税標準額):2,100万円(建物価格の7割程度)
年間の固定資産税: 土地分:1,400万円 × 1.4% = 19.6万円
建物分:2,100万円 × 1.4% = 29.4万円
合計:49万円
新築マンションの固定資産税の特徴
新築マンションの固定資産税の特徴として、以下の点が挙げられます。
1. 建物部分は新築時が最も高額
2. 経年とともに建物評価額が下がる
3. 土地部分は地価の変動に応じて変化
4. 都市部は地方と比べて土地部分の税額が高い
支払い時期と方法
固定資産税の支払いは、通常、年4回に分けて納付します。具体的な納付月は各市区町村によって異なりますが、一般的には6月、8月、10月、1月となっています。納付方法は、口座振替、コンビニ納付、クレジットカード納付など、各市区町村が定める方法から選択できます。
固定資産税の確認方法
購入予定のマンションの固定資産税額は、不動産会社や販売会社に確認することができます。また、物件の所在する市区町村の固定資産税課に問い合わせることで、より詳細な情報を得ることも可能です。ただし、実際の税額は評価額の見直しなどにより変動する可能性があります。
注意点
新築マンション購入時の注意点として、以下が挙げられます。
1. 購入年の固定資産税は前所有者との精算が必要
2. 軽減措置の適用には申請が必要
3. 都市計画税が別途課税される地域がある
4. 管理費とは別に支払う必要がある
新築マンションの固定資産税の軽減措置
新築マンションを購入した場合、一定の条件を満たすことで固定資産税の軽減措置を受けることができます。この制度は、住宅の取得支援を目的として設けられた特例措置です。
軽減措置の基本的な内容
新築マンションの固定資産税軽減措置は、新築後3年間にわたって建物部分の固定資産税が2分の1に軽減される制度です。ただし、この軽減措置を受けるためには、専有面積が50平方メートル以上280平方メートル以下という条件を満たす必要があります。なお、土地部分については軽減措置の対象外となります。
認定長期優良住宅の場合
認定長期優良住宅として認定された新築マンションの場合、さらに手厚い軽減措置を受けることができます。通常の3年間に加えて2年間延長され、計5年間にわたって建物部分の固定資産税が2分の1に軽減されます。これは、より質の高い住宅の普及を促進するための特例措置となっています。
軽減措置の申請手続き
固定資産税の軽減措置を受けるためには、所定の申請手続きが必要です。新築マンションの引き渡しを受けた後、物件が所在する市区町村の税務課窓口に申請書類を提出する必要があります。申請時には、建築確認済証や検査済証、住民票などの書類が必要となります。申請を忘れてしまうと軽減措置を受けることができないため、早めの手続きが推奨されています。
軽減措置の具体的な効果
例えば、建物部分の固定資産税が年間12万円のマンションの場合、軽減措置により最初の3年間は年間6万円となります。認定長期優良住宅であれば、5年間にわたってこの軽減された税額が適用されることになります。このような軽減措置により、新築マンション購入後の初期費用負担を抑えることができます。
軽減措置の対象外となるケース
賃貸用のマンションや事務所として使用するマンションは、この軽減措置の対象外となります。また、既に別の住宅で軽減措置を受けている場合も、新たに購入したマンションでは軽減措置を受けることができません。これは、実際に居住する住宅の取得を支援するという制度の趣旨に基づいています。
軽減措置終了後の対応
軽減措置の適用期間が終了すると、通常の税額に戻ることになります。ただし、建物の評価額は経年減価により徐々に下がっていくため、軽減措置終了後も毎年少しずつ税額は減少していきます。このような税額の変動も考慮に入れた長期的な資金計画を立てることが重要です。
【築年数別】新築マンションの固定資産税の目安やシミュレーション
新築マンションの固定資産税は、築年数によって変化していきます。ここでは、一般的な新築マンションの固定資産税について、築年数別のシミュレーションを具体的に解説していきます。
築0年〜3年目の固定資産税
新築後3年間は軽減措置が適用される期間です。例えば、販売価格5,000万円(建物価格2,500万円、土地価格2,500万円)のマンションの場合、初年度の固定資産税は以下のようになります。
建物部分:評価額1,750万円(建物価格の7割)× 1.4% ÷ 2(軽減措置)= 約12.3万円
土地部分:評価額1,750万円(土地価格の7割)× 1.4% = 約24.5万円
年間固定資産税:約36.8万円
築4年〜5年目の固定資産税
軽減措置が終了し、通常の課税となる時期です。建物の評価額は毎年約1.4%ずつ減価償却により下がっていきます。先ほどの例で計算すると、
建物部分:約23.8万円(軽減措置終了により約2倍に)
土地部分:約24.5万円(地価に変動がない場合)
年間固定資産税:約48.3万円
築6年〜10年目の固定資産税
建物の評価額が徐々に下がっていく時期です。経年による評価額の減少により、固定資産税も少しずつ下がっていきます。例えば、築10年目では、
建物部分:約20.5万円(減価償却により約14%減少)
土地部分:約24.5万円(地価に変動がない場合)
年間固定資産税:約45万円
築11年〜20年目の固定資産税
建物の評価額の下落が緩やかになってくる時期です。20年目における固定資産税の目安は、
建物部分:約17.2万円(築10年目から更に約16%減少)
土地部分:約24.5万円(地価に変動がない場合)
年間固定資産税:約41.7万円
築21年以降の固定資産税
建物の評価額の下落がさらに緩やかになり、土地の評価額が固定資産税額の大部分を占めるようになります。30年目の目安は、
建物部分:約14.8万円(築20年目から更に約14%減少)
土地部分:約24.5万円(地価に変動がない場合)
年間固定資産税:約39.3万円
地域による固定資産税の違い
同じ価格帯のマンションでも、地域によって固定資産税額は大きく異なります。例えば、都心部では土地の評価額が高いため、固定資産税も相対的に高額になります。一方、郊外では土地の評価額が低いため、同じ価格帯のマンションでも固定資産税は比較的低額になる傾向があります。
評価額の見直しによる変動
固定資産の評価額は3年ごとに見直されます。そのため、地価の変動や建物の状態によって、上記のシミュレーション通りにならない場合もあります。特に土地の評価額は地価の変動に応じて上下するため、固定資産税額も変動する可能性があります。
経年劣化の違いによる影響
マンションの管理状態や修繕の実施状況によって、建物の評価額の下がり方は異なってきます。適切な修繕が行われている物件は、建物の評価額の下落が緩やかになる傾向があります。そのため、実際の固定資産税額は、マンションの維持管理状態によっても変わってきます。
よくある質問
新築マンションの固定資産税について、購入検討者からよく寄せられる質問をQ&A形式で詳しく解説します。
支払い時期に関する質問
Q. 新築マンションの固定資産税はいつから支払う必要がありますか?
A. 固定資産税は、その年の1月1日時点での所有者に課税されます。例えば、2024年12月に引き渡しを受けた場合、2025年1月1日から課税対象となり、最初の納付は2025年度からとなります。引き渡し初年度の固定資産税は、売主との間で精算が必要です。
軽減措置に関する質問
Q. 固定資産税の軽減措置は自動的に適用されますか?
A. いいえ、軽減措置の適用には申請が必要です。新築マンションの引き渡し後、物件が所在する市区町村の窓口に必要書類を提出する必要があります。申請を忘れると軽減措置を受けることができませんので、引き渡し後速やかに手続きを行うことが重要です。
税額の変動に関する質問
Q. 固定資産税は毎年同じ金額を支払うのでしょうか?
A. いいえ、固定資産税は建物の経年劣化による評価額の低下や、3年ごとの評価替えにより変動します。一般的に建物部分の評価額は毎年約1.4%ずつ下がり、それに伴い税額も減少していきます。ただし、土地部分は地価の変動により上下する可能性があります。
支払方法に関する質問
Q. 固定資産税の支払い方法は選べますか?
A. はい、一般的に複数の支払い方法が用意されています。年4回の分割払い、一括払い、口座振替、クレジットカード払い、コンビニ納付など、市区町村によって選択できる支払い方法は異なります。具体的な方法は市区町村の窓口で確認できます。
税額の計算方法に関する質問
Q. 固定資産税は購入価格をもとに計算されるのですか?
A. いいえ、固定資産税は購入価格ではなく、固定資産税評価額をもとに計算されます。土地は公示価格の約7割、建物は建築費の約7割が評価額の目安となります。そのため、実際の購入価格とは異なる金額で課税されます。
共有部分に関する質問
Q. マンションの共用部分の固定資産税はどうなりますか?
A. 共用部分の固定資産税は、専有部分の床面積割合に応じて各区分所有者に按分されます。エントランスや廊下、エレベーターなどの共用部分も、区分所有者全員で負担する形となります。
増税に関する質問
Q. 将来、固定資産税は上がる可能性がありますか?
A. 地価の上昇や税制改正により、固定資産税が上がる可能性はあります。特に、3年ごとの評価替えの際に、地価が上昇している地域では税額が増加する場合があります。ただし、建物部分については経年劣化により評価額は下がっていく傾向にあります。
確認方法に関する質問
Q. 購入前に固定資産税の金額を確認することはできますか?
A. はい、物件の販売会社や不動産会社に概算額を確認することができます。また、物件が所在する市区町村の固定資産税課に問い合わせることで、より詳細な情報を得ることも可能です。ただし、実際の税額は評価額の見直しなどにより変動する可能性があります。
まとめ
新築マンションの固定資産税は、3年間の軽減措置があり、その後は築年数とともに評価額が下がっていく仕組みとなっています。マンション購入を検討する際は、この固定資産税の推移も考慮に入れた資金計画を立てることが重要です。また、軽減措置の申請を忘れずに行うことで、当初の数年間は税負担を抑えることができます。
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