共働き世帯で住宅ローンを組む場合の注意点や陥りがちな失敗を解説
家づくりの予算・費用
2024/12/20
2024/12/20
共働き世帯で住宅ローンを組む際は、二人分の収入があることでローンを多く借りられる反面、様々なリスクも考慮する必要があります。今回は、共働き世帯が住宅ローンを検討する際の重要なポイントをご説明します。
共働き世帯で住宅ローンを組む場合の注意点
共働き世帯の住宅ローンでは、夫婦二人分の収入があることから、借入可能額が増えるメリットがあります。しかし、その分だけ慎重な計画が必要になってきます。
収入合算のメリットについて
住宅ローンの審査では、夫婦それぞれの収入を合算して審査を受けることが可能です。例えば、夫の年収が400万円、妻の年収が300万円の場合、700万円の年収として審査を受けられます。これにより、単独で組むよりも借入可能額が大幅に増えることになります。
諸経費の考慮について
共働き世帯特有の支出として、保育料、通勤費、食費(外食代含む)、家事代行サービスなどの諸経費が発生します。これらの経費は、住宅ローンの返済額を検討する際に必ず考慮に入れる必要があります。
将来的な収入変動への備え
共働き世帯では、出産、育児、介護などのライフイベントにより、一時的または長期的な収入減少の可能性があります。そのため、将来的な収入変動を見据えた返済計画を立てることが重要です。例えば、一人の収入でも返済できる程度の借入額に抑えるなどの対策が考えられます。
返済比率の設定
住宅ローンの返済額は、夫婦の手取り収入合計の25%程度を目安とするのが賢明です。これは、将来的な支出増加や収入減少のリスクに備えるためです。収入が多いからといって、返済余力いっパイまで借り入れるのは避けるべきでしょう。
金利上昇リスクへの対応
変動金利を選択する場合、将来的な金利上昇による返済額の増加も考慮に入れる必要があります。特に長期の住宅ローンでは、金利上昇により月々の返済額が大きく変動する可能性があります。
保険加入の検討
共働き世帯の場合、どちらかが病気や事故で働けなくなるリスクも考える必要があります。そのため、団体信用生命保険に加えて、医療保険や所得補償保険などの加入も検討すべきでしょう。
繰り上げ返済の活用
二人分の収入がある時期を活用して、積極的に繰り上げ返済を行うことも検討に値します。これにより、将来的な支出増加や収入減少時期に備えることができます。
陥りがちな失敗1.借り過ぎに注意
共働き世帯は二人分の収入があることから、つい借入額を多めに設定してしまいがちです。しかし、これは将来的な大きなリスクとなる可能性があります。ここでは借り過ぎを防ぐためのポイントを詳しく解説していきます。
適切な借入額の目安
住宅ローンの返済額は、手取り収入の25%程度を目安とするのが一般的です。例えば、夫婦の手取り収入合計が50万円の場合、月々の返済額は12万5千円程度に抑えることが望ましいでしょう。これは、将来的な支出増加や収入減少に備えるための重要な基準となります。
将来的な支出増加要因
住宅購入後は、予期せぬ支出増加が発生する可能性が高くなります。具体的には、子どもの教育費、車の買い替え、家具・家電の購入、住宅のメンテナンス費用などが挙げられます。こうした支出に対応できるよう、余裕を持った借入設定が必要です。
収入減少リスクの考慮
現在の収入が継続するとは限りません。転職による収入減少、育児や介護による一時的な退職、病気やケガによる就業不能など、様々なリスクが考えられます。そのため、二人分の収入を前提とした借り過ぎは避けるべきです。
諸経費の計算漏れに注意
住宅ローンの返済以外にも、固定資産税、管理費、修繕積立金、火災保険料など、住宅関連の諸経費が発生します。これらの費用を含めた総支出を考慮せずに借入額を決めてしまうと、実質的な借り過ぎとなってしまう可能性があります。
金利上昇への備え
特に変動金利を選択する場合、将来的な金利上昇による返済額の増加も考慮する必要があります。現在の返済額に余裕がなければ、金利上昇時に返済が困難になる可能性があります。
借り過ぎを防ぐための具体的な対策
借入額を抑えるためには、頭金を多めに用意する、中古物件の検討、郊外物件の検討など、様々な選択肢があります。また、住宅購入を数年先に延ばし、その間に資金を貯める方法も検討に値します。
返済シミュレーションの活用
借入前に、様々なケースを想定した返済シミュレーションを行うことが重要です。収入が減少した場合、金利が上昇した場合、予期せぬ支出が発生した場合など、複数のシナリオで返済可能かどうかを検証しましょう。
陥りがちな失敗2.退職に注意
共働き世帯の住宅ローンにおいて、配偶者の退職は大きなリスク要因となります。特に、出産や育児などのライフイベントに伴う退職は想定しておくべき重要なポイントです。ここでは、退職リスクに関する注意点を詳しく解説していきます。
退職リスクが高まるライフイベント
退職の可能性が高まる主なライフイベントとしては、出産・育児、親の介護、本人や家族の病気など様々な要因が考えられます。特に出産後は、保育園への入園が困難な場合や、子育てに専念したいという希望から、一時的な退職を選択するケースが多く見られます。
収入減少への備え
配偶者が退職した場合、世帯収入が大きく減少することになります。例えば、年収300万円の配偶者が退職すると、手取り収入は月々で約15万円程度減少する計算になります。この収入減少に対応できるよう、あらかじめ返済計画を立てておく必要があります。
一時的な収入減少対策
育児休業など一時的な収入減少期間に備えて、まとまった貯金を用意しておくことが重要です。具体的には、半年から1年分程度の返済資金を確保しておくことで、一時的な収入減少期間を乗り切ることができます。
返済期間の見直し検討
退職に伴う収入減少時には、返済期間の延長を検討することも一つの選択肢です。ただし、延長には金融機関との交渉が必要となり、また総支払額が増加することにも注意が必要です。
再就職を考慮した計画
退職後の再就職も視野に入れた計画を立てることが重要です。ただし、再就職時の収入は退職前より減少する可能性が高いことも考慮に入れておく必要があります。パートタイムでの再就職を想定し、その収入でも返済が続けられる計画を立てましょう。
失業保険の活用
自己都合退職の場合でも失業保険を受給できます。ただし、給付額は従前の賃金の50~80%程度であり、給付期間も限られています。このため、失業保険だけに頼らない返済計画が必要です。
配偶者の理解と共有
住宅ローンを組む前に、夫婦で将来的な働き方について話し合っておくことが重要です。特に、出産後の復職意思や育児の分担方法などについて、お互いの考えを共有しておく必要があります。
住宅ローン返済支援制度の確認
勤務先や自治体によっては、育児休業中の住宅ローン返済を支援する制度を設けている場合があります。こうした制度の有無や利用条件についても、事前に確認しておくことをお勧めします。
よくある質問(Q&A)
共働き世帯の住宅ローンについて、よくある質問とその回答をまとめました。具体的な事例を交えながら、実践的な内容を解説していきます。
借入額・審査について
Q1:共働きの場合、どのくらいまで借りられますか?
A1:一般的に、夫婦の年収合計の7倍程度が借入の目安となります。ただし、年収700万円(夫400万円、妻300万円)の場合、上限は約4,900万円となりますが、返済の安全性を考慮すると、この金額いっぱいまで借りることは推奨されません。年収の5倍程度を目安に検討することをお勧めします。
Q2:パート収入は住宅ローンの審査で考慮されますか?
A2:パート収入でも、原則として2年以上の就業実績があり、今後も継続する見込みがある場合は合算できます。ただし、金融機関によって扱いが異なる場合があるため、事前に確認が必要です。
返済について
Q1:毎月の返済額はどのくらいが適切ですか?
A1:手取り収入合計の25%程度が一般的な目安です。例えば、夫婦の手取り収入合計が50万円/月の場合、月々の返済額は12.5万円程度に抑えることが望ましいでしょう。
Q2:一方が専業主婦(主夫)になった場合、返済は続けられますか?
A2:事前に一人の収入でも返済できる計画を立てておけば、ライフスタイルの変更にも対応できます。具体的には、借入時から返済額を一人分の収入の25%以内に抑えておくことが推奨されます。
将来の不安について
Q1:育児休業中の返済はどうなりますか?
A1:育児休業中は収入が減少しますが、多くの金融機関では返済条件の変更に応じてくれます。また、事前に貯金で半年から1年分の返済資金を確保しておくことをお勧めします。
Q2:将来金利が上がった場合が不安です。どうすれば良いでしょうか?
A2:変動金利を選択する場合、現在の返済額に加えて2%程度の金利上昇を想定した返済額でもシミュレーションを行っておくことが重要です。また、固定金利選択型の活用も検討に値します。
その他
Q1:二人とも正社員なのに審査に通らないのはなぜですか?
A1:年収以外にも、勤続年数、他の借入状況、生活費の支出状況なども審査の対象となります。特に、カードローンなどの借入が多い場合は、審査に通りにくくなる可能性があります。
Q2:頭金はどのくらい用意すべきですか?
A2:住宅価格の20%程度を目安とすることが推奨されます。これは、諸費用の支払いや、予期せぬ支出への備えとしても重要です。頭金が多いほど、月々の返済額を抑えることができます。
まとめ
共働き世帯の住宅ローンでは、収入合算による借入可能額の増加というメリットがある一方で、将来的なリスクへの備えが重要です。特に、ライフイベントによる収入変動を想定し、余裕のある返済計画を立てることが大切です。また、諸経費や将来の支出もしっかりと考慮に入れ、慎重に借入額を決定しましょう。
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