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将来の年金受給額を踏まえて住宅ローンの返済計画を立てよう

家づくりの予算・費用

2024/12/20

2024/12/20

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

将来の年金受給額を踏まえて住宅ローンの返済計画を立てよう

住宅ローンを検討する際、将来の年金受給額を把握しておくことは非常に重要です。老後の生活設計と住宅ローンの返済計画を適切に組み立てるために、年金制度の基本的な仕組みについて理解しておきましょう。

目次

年金を受け取れる年齢

公的年金には大きく分けて「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2種類があり、基本的な支給開始年齢は65歳からとなっています。ただし、以下のような柔軟な受給方法が用意されています。

繰り上げ受給について

60歳から受給を開始することができる「繰り上げ受給」制度があります。ただし、1ヶ月繰り上げるごとに生涯にわたって受給額が0.5%減額されます。例えば60歳から受給を開始すると、減額率は30%となり、月額約4万円の年金が約2.8万円になってしまいます。

繰り下げ受給について

65歳以降、75歳まで受給開始を延期できる「繰り下げ受給」制度もあります。1ヶ月延期するごとに0.7%増額され、70歳まで延期すると増額率は42%となります。たとえば月額約4万円の年金が約5.7万円に増額されます。

昭和36年4月2日以降に生まれた方の特例

1961年4月2日以降に生まれた方については、特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が段階的に引き上げられています。これは、年金財政の持続可能性を確保するための措置です。

在職老齢年金制度について

65歳以降も働き続ける場合、収入に応じて年金額が調整される「在職老齢年金制度」が適用されます。年収が28万円を超えると年金額が段階的に減額され、これにより現役世代との均衡を図っています。

年金を受け取るための条件

年金を受け取るためには、原則として25年以上の保険料納付期間(免除期間を含む)が必要です。この要件を満たさない場合は、任意加入制度を利用して納付期間を延長することも検討できます。

年金の受給見込み額の確認方法

年金事務所から定期的に送付される「ねんきん定期便」で、現時点での加入記録や将来の受給見込み額を確認できます。また、年金事務所の窓口や「ねんきんネット」でも確認が可能です。住宅ローンの返済計画を立てる際は、必ずこれらの情報を確認しておきましょう。

年金の額の目安

公的年金の受給額は加入期間や保険料の納付状況、職歴などによって個人差が大きくなります。ここでは、標準的なモデルケースをもとに年金額の目安をご説明します。

夫婦世帯の標準的な年金受給額

厚生年金に40年間加入し、妻が専業主婦(国民年金に40年間加入)の世帯の場合、夫婦の年金受給額の合計は月額約22万円程度となります。これは、夫の老齢厚生年金が約16万円、夫婦それぞれの国民年金(老齢基礎年金)が約6.5万円ずつという内訳です。

単身世帯の年金受給額

会社員として40年間厚生年金に加入していた単身者の場合、月額約15万円程度となります。これは老齢基礎年金約6.5万円と、老齢厚生年金約8.5万円の合計です。一方、自営業者など国民年金のみに40年間加入していた場合は、月額約6.5万円となります。

実際の受給額に影響する要因

年金受給額は以下のような要因によって変動します。

・保険料の納付期間(40年未満の場合は減額)

・標準報酬月額(給与水準が高いほど厚生年金額も増加)

・保険料の未納期間(未納期間があると減額)

・受給開始年齢(繰り上げ・繰り下げで増減)

・物価スライド(経済状況により毎年調整)

加給年金・振替加算について

65歳以上の厚生年金受給者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、加給年金(月額約3.9万円)が支給されます。また、専業主婦等の配偶者がいる場合、振替加算として追加の年金が支給される場合があります。

年金収入のみで生活できる水準なのか

標準的な年金受給額は、夫婦二人の基本的な生活費(月額25〜30万円)を賄うには不足する可能性が高いと言えます。そのため、退職金の活用や資産形成、支出の見直しなど、年金以外の収入源も含めた生活設計が必要となります。

将来の年金受給額を確認する方法

「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で、これまでの保険料納付実績に基づく将来の年金受給見込み額を確認できます。住宅ローンを検討する際は、必ずこれらのサービスで自身の年金受給見込み額を確認しておくことをお勧めします。

年金を補完する制度の活用

公的年金だけでは老後の生活費が不安な場合は、個人年金保険やiDeCoなどの私的年金制度の活用も検討しましょう。これらの制度は税制優遇もあり、将来の年金収入を補完する有効な手段となります。

老後資金の事前準備も念頭において住宅ローンの返済計画を

住宅ローンの返済計画を立てる際は、将来の年金受給額を踏まえた上で、老後の生活資金も含めた長期的な視点が重要です。特に、退職後も住宅ローンの返済が続く場合は、慎重な計画が必要となります。

住宅ローン返済期間と定年退職の関係

一般的に住宅ローンの返済期間は35年以内とされていますが、多くの金融機関では完済時の年齢を70〜80歳までに設定しています。定年退職後も返済が続く場合は、年金受給額に加えて退職金や貯蓄などの追加的な資金源も考慮に入れた計画が必要です。

老後の収入と支出のバランス

老後の主な収入源となる年金受給額は、夫婦世帯で月額約22万円程度です。一方で、老後の平均的な支出は月額25〜30万円と言われており、住宅ローンの返済額がこれに加わることで、収支が圧迫される可能性があります。

住宅ローン返済額の目安

住宅ローンの返済額は、年収の25%以内に抑えることが推奨されています。ただし、これは現役時代の目安であり、退職後は年金収入をベースに考える必要があります。返済額が年金受給額の30%を超えないよう、慎重に計画を立てましょう。

老後に向けた資金準備の方法

老後の生活資金を確保するためには、以下のような対策を講じることが重要です。

・退職金の計画的な活用

・資産運用による収入の確保

・iDeCoや個人年金保険の活用

・支出の見直しと生活設計の見直し

・住宅ローンの繰り上げ返済の検討

住宅ローン減税と年金の関係

住宅ローン減税は所得税額が基準となるため、退職後は年金収入のみとなり、減税効果が薄くなる可能性があります。このことも考慮に入れて、返済計画を立てる必要があります。

資産形成と住宅ローンのバランス

住宅ローンの返済だけでなく、老後に向けた資産形成も並行して進めることが重要です。たとえば、住宅ローンの返済額を抑え、その分を資産形成に回すといった選択肢も検討価値があります。

住宅ローンの見直しタイミング

金利の変動や収入の変化に応じて、定期的に返済計画を見直すことが大切です。特に、退職までに10年以上ある場合は、その間の金利動向や収入の変化に応じて、柔軟に計画を修正していく必要があります。

専門家への相談の重要性

住宅ローンと老後の資金計画は、ファイナンシャルプランナーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、より具体的で実現可能な計画を立てることができます。

よくある質問(Q&A)

Q1:年金はいつから受け取れますか?

A1:原則として65歳からの受給開始となります。ただし、60歳からの繰り上げ受給や、75歳までの繰り下げ受給も可能です。繰り上げ受給の場合は減額、繰り下げ受給の場合は増額されます。

Q2:老後の年金受給額はどのくらいですか?

A2:夫が厚生年金に40年加入し、妻が専業主婦の標準的な世帯の場合、夫婦合わせて月額約22万円程度となります。ただし、これは加入期間や保険料納付状況により変動します。

Q3:老後も住宅ローンが残っている場合、返済は可能でしょうか?

A3:年金収入から住宅ローンの返済が可能かどうかは、返済額と年金受給額のバランスによります。一般的には、返済額が年金受給額の30%を超えない範囲に抑えることが推奨されています。

Q4:住宅ローンを組む際に、年金について何を確認すべきですか?

A4:「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の年金受給見込み額を確認し、住宅ローンの返済計画に反映させることが重要です。また、定年退職後の返済継続期間についても考慮が必要です。

Q5:年金だけでは生活費が足りない場合、どうすればよいですか?

A5:iDeCoや個人年金保険などの私的年金の活用、計画的な資産形成、退職金の効果的な運用などを検討しましょう。また、支出の見直しや、住宅ローンの繰り上げ返済なども有効な対策となります。

Q6:年金を受け取りながら働く場合、年金額は減額されますか?

A6:65歳以降も働く場合、収入に応じて年金額が調整される「在職老齢年金制度」が適用されます。ただし、減額された分は後に加算される仕組みとなっています。

Q7:年金の納付期間が不足している場合はどうすればよいですか?

A7:年金の受給には原則として25年以上の保険料納付期間が必要です。不足している場合は、任意加入制度を利用して納付期間を延長することができます。

Q8:配偶者の年金はどうなりますか?

A8:専業主婦(第3号被保険者)の場合、保険料納付なしで基礎年金を受け取ることができます。また、配偶者が65歳未満の場合、加給年金が支給される場合があります。

Q9:年金受給額は将来も同じ金額ですか?

A9:物価や賃金の変動に応じて、年金額は毎年改定されます。また、マクロ経済スライドにより、将来的な給付水準の調整が行われる可能性があります。

Q10:住宅ローンの返済期間は年金受給開始年齢と関係ありますか?

A10:多くの金融機関では完済時の年齢制限を設けており、通常70〜80歳までとされています。年金受給開始年齢を考慮した返済計画を立てることが重要です。

まとめ

住宅ローンを組む際は、将来の年金受給を見据えた計画を立てることが大切です。年金制度の基本を理解し、老後の生活設計と住宅ローンの返済計画をバランスよく組み立てることで、将来の安定した生活基盤を築くことができます。専門家に相談しながら、慎重に計画を立てていきましょう。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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    :地下鉄日比谷線築地駅より徒歩3分

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