住宅ローンの返済期間を短くすることで総返済額が大きく減る仕組み
家づくりの予算・費用
2024/12/20
2024/12/20
住宅ローンを組む際、返済期間の設定は総返済額に大きな影響を与えます。返済期間を短くすることで、毎月の返済額は増えるものの、支払う利息の総額を大幅に抑えることができます。本記事では、返済期間と総返済額の関係性を詳しく解説し、効果的な資金計画の立て方についてお伝えします。
目次
住宅ローンの返済期間と総返済額の仕組みを詳しく解説
住宅ローンの返済期間の設定は、将来の家計に大きな影響を与える重要な要素です。返済期間を理解することで、ライフプランに合わせた最適な返済計画を立てることができます。
返済期間が長くなると総支払額が増える理由
住宅ローンの返済は、毎月の返済額の中に「元金」と「利息」が含まれています。返済期間が長くなると、借入残高に対する利息の支払い期間も長くなるため、必然的に総支払額は増加していきます。
たとえば、3,000万円を借り入れた場合、最初の数年間は支払う金額の大半が利息となり、元金の返済はわずかです。返済期間が長いと、この利息主体の期間も長くなってしまいます。
金利が総返済額に与える影響
住宅ローンの金利も総返済額に大きく影響します。たとえば、借入額3,000万円で35年返済の場合、金利が0.5%違うだけでも総返済額に数百万円の差が生じることがあります。
金利が低い時期に借り入れた場合でも、変動金利を選択していると将来の金利上昇により返済額が増加するリスクがあります。このため、固定金利と変動金利の選択も慎重に検討する必要があります。
返済方式による違い
住宅ローンの返済方式には、主に「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。元利均等返済は毎月の返済額が一定ですが、元金均等返済は返済が進むにつれて毎月の返済額が減っていきます。
元金均等返済は、初期の返済額は多くなりますが、総返済額では元利均等返済よりも少なくなる傾向があります。これは、早い段階で元金の返済が進むため、利息の発生を抑えられるためです。
返済期間と年齢制限の関係
住宅ローンには完済時の年齢制限があり、通常70歳から80歳までとされています。そのため、借入時の年齢によって選択できる返済期間が制限される場合があります。
たとえば45歳で借入れる場合、完済時年齢が80歳だとすると、最長でも35年の返済期間しか選択できません。年齢による制限は金融機関によって異なるため、事前の確認が必要です。
繰り上げ返済の活用
返済期間中に臨時収入があった場合や、収入が増えた場合は、繰り上げ返済を活用することで総返済額を減らすことができます。繰り上げ返済には、返済期間を短縮する方法と、毎月の返済額を減らす方法があります。
特に返済開始から数年以内の繰り上げ返済は、その後の利息負担を大きく減らすことができるため、効果的です。ただし、手数料がかかる場合もあるため、確認が必要です。
ボーナス返済の設定
多くの金融機関では、毎月の返済に加えて、ボーナス時期に増額返済を設定することができます。ボーナス返済を設定すると、毎月の返済額を抑えることができますが、ボーナスが減額されたり、なくなったりするリスクも考慮する必要があります。
一般的にボーナス返済は借入額の40%程度までに抑えることが推奨されています。将来の収入変動も考慮しながら、適切な割合を設定することが重要です。
住宅ローンの返済期間短縮で実現できる総返済額の具体的な削減効果
住宅ローンの返済期間を短縮することで、支払う利息を大幅に抑えることができます。具体的な数字を基に、返済期間の違いによる総返済額への影響を詳しく解説していきます。
借入額3,000万円のケースで見る具体例
借入額3,000万円、金利1.0%の場合を具体例として見てみましょう。返済期間による違いは以下の通りです。
35年返済:
毎月返済額 約8.6万円
総返済額 約3,612万円
30年返済:
毎月返済額 約9.6万円
総返済額 約3,456万円
25年返済:
毎月返済額 約11.3万円
総返済額 約3,390万円
20年返済:
毎月返済額 約13.8万円
総返済額 約3,312万円
返済期間短縮による具体的な効果
35年返済から25年返済に短縮した場合、毎月の返済額は約2.7万円増加しますが、総返済額は約222万円減少します。つまり、月々約2.7万円多く支払うことで、最終的に200万円以上の支払いを減らすことができるのです。
これは将来の生活設計に大きな影響を与える金額といえます。たとえば老後の生活資金や子どもの教育資金として活用することができます。
短縮による年間の節約効果
返済期間の短縮による節約効果を年間で見てみましょう。
35年返済から25年返済に短縮した場合:
1年目の利息:約29万円→約28万円(約1万円の節約)
5年目の利息:約27万円→約25万円(約2万円の節約)
10年目の利息:約24万円→約20万円(約4万円の節約)
金利による効果の違い
金利が高くなるほど、返済期間短縮による節約効果は大きくなります。
金利が2.0%の場合:
35年返済:総返済額 約4,224万円
25年返済:総返済額 約3,780万円
節約効果:約444万円
ライフステージごとの検討ポイント
返済期間の設定は、年齢やライフステージによって検討すべきポイントが変わってきます。20代での借入れであれば35年返済も選択肢となりますが、40代以降での借入れの場合は、定年退職までの期間を考慮して短めの返済期間を検討する必要があります。
毎月の返済負担と節約効果のバランス
返済期間を短くすることで総返済額は減りますが、毎月の返済額は増加します。そのため、収入や将来の支出計画を踏まえて、適切な返済期間を選択することが重要です。目安として、年収の25%程度を住宅ローンの返済に充てられる範囲で検討するとよいでしょう。
繰り上げ返済との組み合わせ効果
返済期間を短めに設定し、さらに繰り上げ返済を活用することで、より大きな節約効果を得ることができます。たとえば、25年返済で始めて、毎年100万円の繰り上げ返済を行うことで、実質的な返済期間を15年程度まで短縮できる可能性があります。
住宅ローンの資金計画を立てる重要なポイント
住宅ローンの資金計画は、将来の生活設計に大きな影響を与える重要な要素です。無理のない返済を実現し、快適な暮らしを送るために、しっかりとした資金計画を立てることが必要です。
頭金の準備と借入額の検討
住宅価格の20%程度を頭金として準備することが理想的です。頭金を多く用意することで、借入額を抑えることができ、毎月の返済負担も軽減されます。また、諸費用(登記費用、不動産取得税、仲介手数料など)も考慮に入れる必要があります。
借入額は年収の5倍程度を目安とし、返済額は年収の25%以内に抑えることが推奨されます。これは、将来の収入減少や金利上昇のリスクに備えるためです。
将来の支出を見据えた計画
住宅ローンの返済期間中には、様々なライフイベントに伴う支出が発生します。以下の項目を考慮した資金計画が必要です。
・子どもの教育費(幼稚園から大学まで)
・車の購入・維持費
・老後の生活費
・予期せぬ修繕費
・医療費や介護費用
金利タイプの選択
変動金利と固定金利のどちらを選択するかは、将来の返済計画に大きく影響します。変動金利は当初の金利が低く、毎月の返済額を抑えられますが、金利上昇のリスクがあります。一方、固定金利は金利が高めですが、返済額が確定するため、計画が立てやすいというメリットがあります。
返済方式の検討
元利均等返済と元金均等返済の特徴を理解し、自身の収入状況や将来設計に合わせて選択することが重要です。元金均等返済は当初の返済額は多くなりますが、総返済額を抑えることができます。
返済期間の設定
返済期間は、完済時の年齢制限を考慮しつつ、毎月の返済額と総返済額のバランスを見ながら決定します。
・20代後半での借入:30~35年
・30代での借入:25~30年
・40代での借入:20~25年
・50代での借入:15~20年
繰り上げ返済の計画
将来的な収入増加や退職金、相続などの臨時収入を見込んで、繰り上げ返済の可能性も考慮に入れます。特にローン開始から数年以内の繰り上げ返済は、総返済額の削減効果が高くなります。
住宅ローン控除の活用
住宅ローン控除は最長13年間にわたって税金が還付される制度です。この還付金を返済資金に充てることで、実質的な返済負担を軽減することができます。
緊急時の備え
失業や病気など、不測の事態に備えて、最低でも半年分の返済資金を準備しておくことが推奨されます。また、団体信用生命保険への加入も検討し、万が一の場合の家族の負担を軽減することも重要です。
見直しのタイミング
資金計画は定期的な見直しが必要です。特に以下のようなタイミングでは見直しを検討しましょう。
・昇給や転職による収入の変化
・家族構成の変化
・金利の大幅な変動
・ボーナスの増減
・予期せぬ支出の発生
適切な資金計画を立てることで、無理のない返済を実現し、将来の生活設計も安定したものとなります。定期的な見直しを行いながら、柔軟に対応していくことが大切です。
住宅ローン返済期間に関するよくある質問(Q&A)
住宅ローンの返済期間について、多くの方が疑問や不安を抱えています。ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
借入れ時の年齢と返済期間について
Q:年齢制限はありますか?
A:はい。多くの金融機関では完済時の年齢制限があり、通常70歳から80歳までとなっています。そのため、借入時の年齢によって選択できる返済期間が制限されます。
Q:55歳での借入れでも35年返済は可能ですか?
A:一般的には難しいです。完済時の年齢制限が75歳の場合、55歳での借入れでは最長20年程度の返済期間となります。ただし、金融機関によって年齢制限は異なります。
返済期間の変更について
Q:返済期間の途中で短縮は可能ですか?
A:可能です。多くの金融機関では返済期間の短縮に対応しています。ただし、審査が必要な場合があります。
Q:返済期間を延長することはできますか?
A:可能ですが、条件があります。収入減少などの合理的な理由が必要で、完済時年齢の制限内である必要があります。また、金融機関の審査が必要です。
金利に関する質問
Q:変動金利で借りて、後から固定金利に変更できますか?
A:可能です。ただし、その時点での金利が適用されるため、変更時の金利動向を確認する必要があります。手数料が発生する場合もあります。
Q:金利が上がった場合、返済額はどうなりますか?
A:変動金利の場合、基本的に5年間は返済額が変わらず、その間の金利変動分は返済期間の延長で調整されます。ただし、大幅な金利上昇の場合は返済額が増額される場合があります。
繰り上げ返済について
Q:繰り上げ返済にはいくらから可能ですか?
A:金融機関によって異なりますが、一般的に10万円から可能です。インターネットバンキングを利用すれば、比較的少額から繰り上げ返済ができます。
Q:繰り上げ返済は毎月の返済額と期間のどちらを減らすべきですか?
A:生活設計によります。返済期間を短縮する方が総返済額の削減効果は大きくなりますが、毎月の支払いに余裕が欲しい場合は返済額の減額を選択するのもよいでしょう。
返済が困難になった場合
Q:収入が減って返済が厳しくなった場合はどうすればよいですか?
A:まずは金融機関に相談することをお勧めします。返済期間の延長や返済額の見直しなど、様々な対応策を検討することができます。早めの相談が重要です。
Q:失業した場合の対応は?
A:団体信用生命保険とは別に、失業保険特約に加入している場合は保険金での返済が可能です。また、金融機関との相談により、一時的な返済額の減額や返済の据え置きなどの対応を検討できます。
その他の質問
Q:住宅ローン控除は返済期間によって変わりますか?
A:控除期間は借入時期や借入額によって異なりますが、最長13年間となっています。返済期間の長さは控除期間には影響しません。
Q:転職を考えていますが、返済に影響はありますか?
A:基本的に返済中の転職は問題ありません。ただし、収入が大幅に減少する場合は、事前に金融機関に相談することをお勧めします。
まとめ
住宅ローンの返済期間は、総返済額に大きな影響を与える重要な要素です。返済期間を短くすることで、毎月の返済額は増えるものの、支払う利息を大幅に減らすことができます。ただし、将来の支出計画をしっかりと考慮した上で、無理のない返済計画を立てることが大切です。返済期間の設定は、ライフプランに合わせて慎重に検討しましょう。
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