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住宅ローンの繰り上げ返済「期間短縮型」「返済額軽減型」を解説

家づくりの予算・費用

2024/12/23

2024/12/23

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

住宅ローンの繰り上げ返済「期間短縮型」「返済額軽減型」を解説

住宅ローンを組んだ後、まとまったお金ができた時に検討したい繰り上げ返済。期間短縮型と返済額軽減型という2つの方式がありますが、どちらを選ぶべきか悩まれる方も多いのではないでしょうか。今回は、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、具体的な数字を交えながら詳しく解説していきます。

住宅ローンの繰り上げ返済とは

繰り上げ返済の基本的な仕組み

住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の決められた返済とは別に、まとまった金額を臨時で返済することで、借入金を予定より早く返済する方法です。通常の返済予定額以上の金額を支払うことで、総返済額を減らすことができます。

例えば、ボーナスや退職金、相続金など、まとまったお金が手に入った際に活用することができます。また、毎月の余剰資金を積み立てて、ある程度まとまった金額になった時点で繰り上げ返済に充てるという方法もあります。

繰り上げ返済のメリット

繰り上げ返済の最大のメリットは、支払利息の総額を大きく減らせることです。住宅ローンは長期間の返済となるため、利息の支払額は決して小さくありません。繰り上げ返済によって元金を早期に減らすことで、その後の利息負担を軽減することができます。

また、返済期間を短縮できることで、ローン返済の負担から早期に解放されるというメリットもあります。これにより、その後の人生設計の自由度が広がります。

繰り上げ返済の種類

繰り上げ返済には、一括繰り上げ返済と定期繰り上げ返済の2種類があります。一括繰り上げ返済は、まとまった資金を一度に返済する方法です。一方、定期繰り上げ返済は、毎月の返済額に一定金額を上乗せして返済していく方法です。

繰り上げ返済の注意点

繰り上げ返済を行う際は、以下の点に注意が必要です。まず、金融機関によって手数料が発生する場合があります。また、繰り上げ返済可能な時期や金額に制限が設けられていることもあります。

さらに、繰り上げ返済を行う前に、十分な手元資金を確保しておくことも重要です。急な出費に備えて、ある程度の預貯金は残しておく必要があります。

手続きの方法

繰り上げ返済の手続きは、借入先の金融機関の窓口やインターネットバンキングで行うことができます。近年は、インターネットバンキングを利用する場合、手数料が無料になるケースも増えています。

手続きの際は、返済方法(期間短縮型か返済額軽減型か)を選択する必要があります。また、金融機関によっては、事前に返済の予約が必要な場合もあります。

繰り上げ返済のタイミング

繰り上げ返済は、借入れ開始からなるべく早い時期に行うほど、利息の軽減効果が大きくなります。これは、住宅ローンの返済の初期段階では、毎月の返済額のうち利息の占める割合が大きいためです。

ただし、資金計画をしっかり立てた上で実施することが重要です。将来の支出予定や、老後の資金計画なども考慮に入れて検討する必要があります。

「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違い

2つの返済方式の基本的な違い

期間短縮型は、毎月の返済額はそのままに返済期間を短くする方式です。一方、返済額軽減型は返済期間はそのままに、毎月の返済額を減らす方式となります。どちらの方式を選択しても、繰り上げ返済による元金の減少効果は同じですが、その後の返済計画が大きく変わってきます。

期間短縮型のメリット・デメリット

期間短縮型の最大のメリットは、総支払額(元利合計)の削減効果が大きいことです。返済期間が短くなることで、その分の利息支払いがなくなるためです。また、早期に住宅ローンから解放されることで、その後のライフプランの選択肢が広がります。

一方、デメリットとしては、毎月の返済額は変わらないため、家計の収支改善にはつながらないことが挙げられます。また、一度期間短縮型を選択すると、毎月の返済額は固定されたままとなります。

返済額軽減型のメリット・デメリット

返済額軽減型のメリットは、毎月の返済額が減少することで、家計にゆとりが生まれることです。収入が不安定な方や、将来の教育費など大きな支出が予想される場合に適しています。

デメリットは、返済期間が変わらないため、支払利息の削減効果が期間短縮型と比べて小さくなることです。また、総返済額も期間短縮型と比べると多くなります。

それぞれの方式が向いているケース

期間短縮型は、以下のような方に向いています。

・安定した収入があり、毎月の返済に余裕がある方

・できるだけ早くローンを完済したい方

・総支払額を極力抑えたい方

・将来的な収入減少が心配な方

返済額軽減型は、以下のような方に向いています。

・毎月の支払いに少し余裕が欲しい方

・将来の教育費など、大きな支出が予定されている方

・収入が不安定な方

・老後の返済継続に不安がある方

選び方のポイント

どちらの方式を選ぶかは、以下の点を考慮して判断するとよいでしょう。

・現在の収入状況と今後の見通し

・ライフプランにおける大きな支出の予定

・老後の生活設計

・資産運用の予定

途中での切り替えについて

多くの金融機関では、期間短縮型と返済額軽減型の切り替えが可能です。ただし、手続きや手数料が必要な場合もあるため、事前に金融機関に確認することをお勧めします。状況の変化に応じて、柔軟に方式を見直すことができます。

判断に迷った場合の選び方

将来の収入や支出に不安がある場合は、まずは返済額軽減型を選択し、余裕が出てきた段階で期間短縮型への切り替えを検討するという方法もあります。特に若い世代の場合、このような段階的なアプローチが安全です。

「返済額軽減型」の場合のシミュレーション

基本的な計算例

返済額軽減型の効果を具体的な数字で確認していきましょう。例として、借入額3,000万円、金利年1.0%の固定金利、返済期間35年で毎月の返済額が約86,000円という住宅ローンを考えます。この条件で借入れから5年後に500万円の繰り上げ返済を行った場合、毎月の返済額は約71,000円まで減少し、約15,000円の負担軽減となります。返済期間は35年のまま変わりませんが、総支払利息は約150万円削減することができます。

時期による効果の違い

同じ500万円の繰り上げ返済でも、実施する時期によって効果は大きく異なってきます。借入開始から1年後に実施すると、毎月の返済額は約16,000円減少し、総利息は約170万円削減できます。5年後の実施では月々約15,000円の減少で総利息は約150万円の削減、10年後では月々約14,000円の減少で総利息約130万円の削減となります。このように、早い段階での繰り上げ返済ほど、総支払利息の削減効果が大きくなることがわかります。

返済額の規模による効果

繰り上げ返済の金額によっても、毎月の返済額の減少幅は変化します。100万円の繰り上げ返済であれば月々約3,000円の減少にとどまりますが、300万円では約9,000円、1,000万円では約30,000円もの減少となります。このように、繰り上げ返済額が大きければ大きいほど、月々の家計の余裕も大きくなっていきます。

金利による影響

借入金利の違いも、返済額軽減効果に大きな影響を与えます。500万円を5年後に繰り上げ返済した場合、金利0.5%のケースでは月々約14,000円の減少となり、総利息は約80万円削減されます。一方で金利が2.0%の場合は、月々約17,000円の減少となり、総利息は約280万円も削減されます。このように、金利が高ければ高いほど、繰り上げ返済による効果は大きくなっていきます。

家計への影響

返済額軽減型を選択することで、家計にはさまざまな好影響が生まれます。毎月の支出が減少することで新たな貯蓄が可能になるほか、教育費などの将来の支出に向けた準備資金を確保しやすくなります。また、予期せぬ支出への対応力も向上し、余裕のできた資金を投資や資産形成に回すことも検討できるようになります。

税制上の影響

税制面では、返済額軽減型の場合、住宅ローン控除の適用期間は変更されません。ただし、毎年の控除額は若干減少することになります。しかし、返済期間が維持されるため、期間短縮型と比較すると総控除額の減少は抑えられ、税制上のメリットを長期間活用できる利点があります。

検討時の留意点

返済額軽減型の繰り上げ返済を検討する際は、将来の収入見通しとの整合性を確認することが重要です。また、月々の返済額が減少した分をどのように活用していくのか、具体的な計画を立てることも大切です。さらに、インフレによる実質的な返済負担の変化や、資産運用との比較検討も忘れずに行いましょう。もちろん、繰り上げ返済時に必要となる手数料についても考慮に入れる必要があります。

このように返済額軽減型は、毎月の返済負担を軽くできる一方で、総返済額の削減効果は期間短縮型と比べると小さくなります。そのため、自身のライフプランや将来の収支計画を踏まえて、慎重に判断することが求められます。特に、将来の収入が不安定な可能性がある場合や、教育費など大きな支出が予定されている場合には、有効な選択肢となるでしょう。

「返済額軽減型」の場合のシミュレーション

基本的な計算例

具体的な数字で返済額軽減型の効果を見ていきましょう。借入額3,000万円、金利年1.0%(固定金利)、返済期間35年、当初の毎月返済額約86,000円という住宅ローンを例にとります。この場合、借入れから5年後に500万円の繰り上げ返済を行うと、毎月の返済額は約86,000円から約71,000円へと約15,000円減少します。返済期間は35年のままですが、総支払利息は約150万円削減されることになります。

繰り上げ返済額による月々の返済額の変化

繰り上げ返済額の大きさによって、毎月の返済額の減少幅も変わってきます。100万円の繰り上げ返済であれば月々約3,000円の減少、300万円であれば約9,000円の減少、500万円で約15,000円の減少、そして1,000万円の繰り上げ返済では約30,000円の減少となります。繰り上げ返済額が大きいほど、月々の返済負担は大きく軽減されることがわかります。

実施時期による効果の違い

同じ500万円の繰り上げ返済でも、実施する時期によって効果は異なります。借入開始1年後に実施した場合は月々約16,000円の減少と総利息約170万円の削減、5年後では月々約15,000円の減少と総利息約150万円の削減、10年後では月々約14,000円の減少と総利息約130万円の削減となります。早期に実施するほど、総支払利息の削減効果が大きくなることがわかります。

金利による効果の違い

借入金利の違いによっても効果は大きく変わります。500万円の繰り上げ返済を5年後に実施した場合、金利0.5%では月々約14,000円の減少と総利息約80万円の削減、金利1.0%では月々約15,000円の減少と総利息約150万円の削減、金利2.0%では月々約17,000円の減少と総利息約280万円の削減となります。金利が高いほど、繰り上げ返済による効果は大きくなります。

家計への影響

返済額軽減型を選択した場合、家計にさまざまな影響をもたらします。月々の支出が減少することで新たな貯蓄が可能になったり、教育費などの将来の支出に対する余裕が生まれたりします。また、急な支出への対応力が向上し、投資や資産形成への資金活用も検討しやすくなります。

税金面での影響

返済額軽減型の場合、住宅ローン控除の適用期間は変わりませんが、毎年の控除額は減少することになります。ただし、返済期間が維持されるため、期間短縮型と比べると総控除額の減少は比較的小さくなります。このため、税制上のメリットを長期間にわたって活用することができます。

留意すべきポイント

返済額軽減型のシミュレーションを行う際は、いくつかの重要な点に注意する必要があります。まず、将来の収入予測との整合性を確認し、減少した返済額をどのように活用するかを計画することが重要です。また、インフレによる実質的な返済負担の変化や、資産運用との比較検討も必要です。さらに、繰り上げ返済時の手数料についても考慮に入れる必要があります。

このように、返済額軽減型は月々の返済負担を軽減できる一方で、総返済額の削減効果は期間短縮型と比べると小さくなります。そのため、自身の生活設計や将来の収支計画を踏まえて、慎重に選択を行うことが重要です。

よくある質問(Q&A)

繰り上げ返済の基本について

Q. 繰り上げ返済はいつでもできますか?

A. 金融機関によって手続き可能な時期は異なります。多くの場合、毎月の返済日に合わせて実施する必要があります。また、固定金利期間中は繰り上げ返済に制限がある場合もあるため、事前に金融機関に確認することをお勧めします。

Q. 繰り上げ返済の最低金額はありますか?

A. 金融機関によって異なりますが、一般的に10万円以上からの取り扱いが多いです。ただし、インターネットバンキングでは1万円から可能な場合もあります。具体的な金額は契約している金融機関に確認する必要があります。

手数料について

Q. 繰り上げ返済に手数料はかかりますか?

A. 金融機関や手続き方法によって異なります。窓口での手続きは3,000円から5,000円程度の手数料が必要なことが多いですが、インターネットバンキングを利用すれば無料のケースが増えています。また、返済額が大きい場合は手数料が高くなる場合もあります。

返済方法の選択について

Q. 期間短縮型と返済額軽減型はいつでも切り替えられますか?

A. 多くの金融機関では、繰り上げ返済の都度、どちらの方式にするか選択することができます。ただし、一度選択した方式を後から変更することは通常できません。新たに繰り上げ返済を行う際に、その時点で方式を選択することになります。

税金への影響

Q. 住宅ローン控除はどうなりますか?

A. 期間短縮型の場合は控除を受けられる期間が短くなり、返済額軽減型の場合は年間の控除額が減少します。ただし、どちらの場合も繰り上げ返済による総支払利息の削減効果の方が、通常は税制上のデメリットを上回ります。

金利について

Q. 変動金利でも繰り上げ返済はできますか?

A. 変動金利でも繰り上げ返済は可能です。むしろ、固定金利特約期間中の方が制限が厳しい場合があります。変動金利の場合、金利が上昇傾向にある時期での繰り上げ返済は、より大きな効果が期待できます。

生命保険との関係

Q. 団体信用生命保険の保障額はどうなりますか?

A. 繰り上げ返済を行うと、団体信用生命保険の保障額も返済後の残債に応じて減少します。ただし、保険料は通常変わりません。必要に応じて別途生命保険の加入を検討するとよいでしょう。

事前準備について

Q. 繰り上げ返済の手続きに必要な書類は何ですか?

A. 通常、本人確認書類、返済用通帳、印鑑証明書などが必要です。インターネットバンキングの場合は、専用のパスワードや認証情報が必要となります。具体的な必要書類は金融機関によって異なるため、事前に確認することをお勧めします。

その他の疑問

Q. 住宅ローンを組み直す(借り換え)のと、どちらがいいですか?

A. それぞれの状況によって判断が異なります。金利が大幅に低下している場合は借り換えの方が有利な場合もありますが、諸費用が発生するため、慎重な比較検討が必要です。また、両方を組み合わせることで、より効果的な返済計画を立てることも可能です。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済は、家計の状況や将来の資金計画に応じて、期間短縮型と返済額軽減型を選択できます。総支払額の削減を重視する場合は期間短縮型、毎月の支払いに余裕を持たせたい場合は返済額軽減型が適しています。自身の生活設計に合わせて、最適な方式を選択することが大切です。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :有限会社ティーエムライフデザイン総合研究所

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    :渡辺知光

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