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住宅ローンを借りつつ、他のローンを組む場合の注意点を解説

家づくりの予算・費用

2024/12/25

2024/12/25

記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

住宅ローンを借りつつ、他のローンを組む場合の注意点を解説

住宅ローンと他の種類のローンを同時に利用することは可能ですが、適切な管理と計画が必要です。本記事では、住宅ローンと他のローンを組み合わせる際の重要なポイントと注意事項について詳しく解説します。

住宅ローンを借りつつ、他のローンを組むことはできる?

住宅ローンと他のローンを同時に組むことは可能です。ただし、以下のような重要な条件と注意点があります。

年収と返済額のバランス

年収に対する返済総額(住宅ローンと他のローンの合計)が35%以下であることが一般的な基準となります。たとえば、年収500万円の場合、毎年の返済総額は175万円(月々約14.6万円)以下が目安となります。

金融機関による審査基準

各金融機関は独自の審査基準を持っています。住宅ローンの場合、勤続年数、年収、職種、その他の借入状況などを総合的に判断します。他のローンがある場合、より慎重な審査が行われることがあります。

借入限度額への影響

他のローンがある場合、住宅ローンの借入可能額が減少する可能性があります。例えば、500万円の車のローンがある場合、その返済額に応じて住宅ローンの限度額が下がることがあります。

返済計画の重要性

複数のローンを組む場合は、長期的な返済計画が特に重要です。将来の収入変動や予期せぬ支出にも対応できるよう、余裕を持った計画を立てることが推奨されます。

優先順位の検討

住宅ローンは一般的に金利が低く、期間が長いため、他のローンより優先して検討することが賢明です。特に、金利の高いローンは可能な限り抑えることが重要です。

返済負担率とは

返済負担率は、借入をする際の重要な指標で、年収に対する年間返済額の割合を示すものです。この指標は、借り手の返済能力を評価する上で最も重要な基準の一つとなっています。

返済負担率の基本的な計算式は、年間の返済総額を年収で割り、100を掛けて算出します。例えば、年収500万円で年間返済額が150万円の場合、返済負担率は30%となります。一般的な金融機関では、住宅ローンのみの場合は25%以下、住宅ローンと他のローンの合計で35%以下を基準としています。ただし、これらは一般的な目安であり、金融機関によって異なる場合があります。

返済負担率が高すぎる場合、ローン審査が通りにくくなったり、借入可能額が減少したり、金利が高くなる可能性があります。また、追加のローンを組みにくくなるといった影響も考えられます。このような状況を避けるため、借入期間を長くして月々の返済額を減らしたり、頭金を増やして借入額を減らしたり、高金利のローンを低金利のローンに借り換えたりするなどの対策が考えられます。また、収入を増やす努力をすることも一つの方法です。

返済負担率を計算する際は、ボーナス払いがある場合はそれも含めて計算する必要があります。また、将来の収入変動も考慮に入れ、生活費や教育費などの固定支出も考慮しながら、予期せぬ支出に備えた余裕を持つことが重要です。

夫婦共働きの場合、世帯年収での返済負担率も考慮されます。ただし、配偶者の収入は一般的に全額ではなく、その一部(例えば50%)が考慮される場合が多いことに注意が必要です。また、業種や職種によっても、認められる返済負担率の上限が異なることがあります。例えば、公務員など安定した収入がある職業の場合、より高い返済負担率が認められる可能性があります。

返済負担率の管理は、長期的な返済計画を立てる上で非常に重要です。住宅ローンは数十年に渡る長期の借入となるため、現在の返済負担率が適正範囲内であっても、将来の収入や支出の変動を見据えた慎重な計画が必要となります。特に、他のローンとの併用を考える場合は、より保守的な判断が求められます。

住宅ローンを先に借りている場合の注意点

住宅ローンを既に借りている状態で他のローンの利用を検討する場合、まず現在の住宅ローンの返済状況を詳細に確認する必要があります。住宅ローンは一般的に長期間かつ高額な借入であるため、追加のローンを検討する際は特に慎重な判断が求められます。

現在の住宅ローンの返済額が年収に対してどの程度の割合を占めているかを把握することが重要です。一般的に住宅ローンの返済額は年収の25%以下が望ましいとされていますが、これに新たなローンの返済額が加わることで、総返済負担率が35%を超えないように注意する必要があります。例えば、年収600万円で住宅ローンの年間返済額が120万円(返済負担率20%)の場合、追加で組めるローンの年間返済額は最大で90万円(返済負担率15%)程度となります。

また、住宅ローンの返済履歴も重要な判断材料となります。延滞や遅延がない良好な返済履歴があれば、追加のローンを検討する際にプラスの評価となります。一方で、返済が遅れがちな場合や、収入に対して返済額が既に大きな割合を占めている場合は、新たなローンの審査が通りにくくなる可能性があります。

新たなローンを検討する際は、できるだけ金利の低い商品を選択することが賢明です。例えば、マイカーローンであれば、一般的な消費者ローンよりも金利が低い自動車ローンを選択したり、高額な買い物の場合は、クレジットカードの分割払いよりも、金利の低いローンを検討したりすることをお勧めします。また、返済期間についても、月々の負担を抑えるため、可能な範囲で長めに設定することを検討してください。

将来的な収入や支出の変動も考慮に入れる必要があります。住宅ローンは長期の返済が前提となっているため、その期間中にライフステージの変化に伴う支出の増加(子どもの教育費など)や、収入の変動(転職や退職など)が発生する可能性があります。そのため、新たなローンを組む際は、将来の資金計画を十分に検討し、余裕を持った返済計画を立てることが重要です。

また、緊急時の対応も考慮に入れる必要があります。住宅ローンに加えて他のローンも抱えている状態では、予期せぬ支出(住宅の修繕費用や医療費など)が発生した際の対応が難しくなる可能性があります。そのため、ある程度の預貯金や資産を確保しておくことも重要です。住宅ローンと他のローンの返済で手一杯になり、緊急時の備えがなくなってしまうような状況は避けるべきです。

最後に、将来的な借り換えや繰り上げ返済の可能性も考慮に入れておくことをお勧めします。金利の変動や収入の増加に応じて、住宅ローンの借り換えや繰り上げ返済を検討できる余地を残しておくことで、より柔軟な資金計画が可能になります。そのため、新たなローンを組む際は、将来の借り換えや繰り上げ返済に影響を与えない程度の借入額と返済計画を立てることが望ましいでしょう。

他のローンよりも後に住宅ローンを借りる場合の注意点

他のローンが既にある状態で住宅ローンを検討する場合は、より慎重な準備と計画が必要となります。住宅ローンは一般的に借入額が大きく、返済期間も長期にわたるため、既存のローンの状況が審査に大きな影響を与えることになります。

住宅ローンの審査では、既存のローンの返済状況が重要な判断材料となります。特に過去の返済履歴は厳しくチェックされ、延滞や遅延があった場合、住宅ローンの審査に大きく影響する可能性があります。そのため、住宅ローンの申し込みを検討している場合は、少なくとも1年以上前から、既存のローンの返済を確実に行い、良好な返済履歴を築いておくことが重要です。

また、総返済負担率の管理も重要なポイントとなります。既存のローンの返済額と新規の住宅ローンの返済予定額の合計が、年収の35%を超えないように注意が必要です。例えば、年収500万円で既に年間60万円のマイカーローンの返済がある場合、住宅ローンの年間返済額は115万円程度が上限となります。このような制限があるため、住宅ローンの借入可能額が大きく減少する可能性があります。

さらに、既存のローンが住宅ローンの頭金準備に影響を与える可能性もあります。住宅購入時には一般的に購入価格の20〜30%程度の頭金が必要とされますが、他のローンの返済により十分な貯蓄ができていない場合、必要な頭金が準備できず、住宅ローンの実行に支障をきたす可能性があります。そのため、住宅購入を検討している場合は、他のローンの返済額を必要最小限に抑え、可能な限り頭金の準備を優先することが賢明です。

したがって、可能であれば住宅ローンの申し込み前に、既存のローンの返済を完了させるか、残高を大幅に減らしておくことをお勧めします。特に、金利の高い消費者ローンやクレジットカードの利用残高がある場合は、これらを優先的に返済することで、住宅ローンの審査での評価が改善される可能性があります。また、複数の金融機関から借入がある場合は、できるだけ一本化するなど、借入状況をシンプルにすることも検討すべきです。

住宅ローン審査では、将来の返済能力も重要な判断要素となります。そのため、現在の返済状況だけでなく、今後の収入の安定性や支出の見通しについても慎重に検討する必要があります。特に、既存のローンの返済が続く中での住宅ローン返済となるため、将来的な昇給や収入増加の見込み、また予期せぬ支出への備えなども含めた総合的な資金計画を立てることが重要です。

最後に、住宅ローンの事前審査を活用することをお勧めします。事前審査では、現在の借入状況や収入状況をもとに、どの程度の住宅ローンが借りられるかを事前に確認することができます。これにより、実際の住宅探しの前に、予算の目安を立てることができ、より効率的な住宅購入計画を立てることが可能となります。また、複数の金融機関で事前審査を受けることで、より有利な条件の住宅ローンを見つけることもできます。

よくある質問(Q&A)

Q:住宅ローンと車のローンを同時に組むことは可能ですか?

A:可能です。ただし、両方の返済額の合計が年収の35%を超えないように注意が必要です。また、住宅ローンを先に検討することをお勧めします。車のローンは比較的金利が高く、住宅ローンの審査に影響を与える可能性があるためです。例えば、年収600万円の場合、両方の年間返済額合計が210万円以下となるように計画を立てる必要があります。

Q:既存のローンがある場合、住宅ローンの審査に通りにくくなりますか?

A:必ずしもそうとは限りません。返済履歴が良好で、総返済負担率が基準内であれば、審査に通る可能性は十分にあります。ただし、延滞歴がある場合や、返済負担率が高い場合は、審査が厳しくなる可能性があります。特に、過去1年間の返済状況が重要視されます。また、既存のローンの種類や金額によっても影響が異なります。

Q:返済負担率が高くなりすぎた場合はどうすればよいですか?

A:いくつかの対策が考えられます。まず、既存のローンの借り換えを検討することで、金利を低く抑えたり、返済期間を延長して月々の返済額を減らしたりすることができます。また、可能であれば一部繰り上げ返済を行うことで、総返済額を減らすことも効果的です。収入面では、副収入の確保や昇給を目指すなど、収入増加の方策を検討することも重要です。

Q:住宅ローンの審査前に、他の借入を完済する必要がありますか?

A:必ずしも完済する必要はありませんが、可能であれば返済を済ませておくことをお勧めします。特に、金利の高い消費者ローンやクレジットカードの利用残高は、できるだけ返済しておくことが望ましいです。完済が難しい場合でも、残高を減らしておくことで、住宅ローンの審査がスムーズに進む可能性が高くなります。

Q:配偶者の収入は住宅ローンの審査でどのように考慮されますか?

A:配偶者の収入は、通常その一部(50〜100%)が合算対象となります。ただし、パートタイム収入の場合は、勤続年数や収入の安定性によって考慮される割合が変わることがあります。また、配偶者に他のローンがある場合は、その返済額も含めて総返済負担率が計算されます。

Q:住宅ローンの借入限度額は、他のローンがあるとどの程度減りますか?

A:具体的な減額幅は、既存ローンの返済額や種類によって異なります。例えば、年収500万円で月々3万円の車のローン返済がある場合、住宅ローンの借入可能額は概ね100〜200万円程度減少する可能性があります。ただし、これは一般的な目安であり、金融機関の審査基準や個人の信用状況によって大きく変動することがあります。

Q:住宅ローンと教育ローンを併用することは可能ですか?

A:可能です。教育ローンは公的な制度を利用できる場合も多く、比較的金利が低いため、住宅ローンとの併用がしやすい傾向にあります。ただし、やはり総返済負担率には注意が必要です。教育ローンは在学期間中の元金据置などの制度を利用することで、一時的な返済負担を軽減できる場合もあります。

Q:住宅ローン審査のために事前に準備しておくべきことはありますか?

A:まず、直近1年以上の返済履歴を良好に保つことが重要です。また、安定した収入を示すため、できるだけ長期の勤続年数を確保することもポイントです。貯蓄面では、頭金の準備に加えて、数ヶ月分の返済資金を備えておくことが望ましいです。さらに、定期的な収支状況の確認や、将来的な収入・支出計画の立案も重要な準備となります。

まとめ

住宅ローンと他のローンを組み合わせる場合は、返済負担率を適切に管理することが最も重要です。また、将来の収入変動なども考慮に入れ、余裕のある計画を立てることをお勧めします。

特に、他のローンよりも住宅ローンを優先して組むことで、より柔軟な資金計画が可能になります。ローンを組む際は、専門家に相談しながら、慎重に検討することが賢明です。

なお、当社が提供している「housemarriage」では、住宅コンシェルジュが理想の家づくりのサポートとして、住まいを探す上で重要なハウスメーカーや工務店の営業担当者とのマッチングサポートをさせていただきます。住宅購入の資金計画の相談・作成や、相性良く親身になってくれる「営業担当者」をご紹介します。家づくりに関して少しでも不安を感じるようであれば、お問い合わせください。

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記事監修者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 渡辺 知光

大学卒業後、積水化学工業に入社し住宅「セキスイハイム」を販売。3年8カ月千葉県内で営業に従事し、営業表彰を6期連続受賞。
途中、母の急死に直面し、自分の将来について悩み始める。結果、大学のゼミで学んだ「保険」事業に実際に携わりたいと思いFP資格を取得して日本生命に転職。4年間営業に従事したが、顧客に対して提供出来る商品がなく退職を決意。FP兼保険代理店を開業する。

収入も顧客もゼロからのスタート。しかも独立直前に結婚し住宅購入した為、返済不安に陥り貯蓄が日々減っていく恐怖を覚える。

人生で初めて家計の見直しを行い、根本的な改善により失敗と不安を減らすコツを発見。自分の経験を生かしお客様が同じ道を歩まないよう伝えるべく「マイホーム検討者向けFP」として活動中。

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    :渡辺知光

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